国内

スカイマークのコストダウン戦略 丁寧な言葉使い義務付けず

 飛行機に乗ってふと目を落とすと、座席の前にこんな紙が入っていたから、思わず二度見した。

〈機内での苦情は一切受け付けません。ご理解いただけないお客様には定時運航順守のため退出いただきます〉

〈従来の航空会社の客室乗務員のような丁寧な言葉使いを当社客室乗務員に義務付けておりません。(中略)安全管理のために時には厳しい口調で注意をすることもあります〉

 日本でも、本格的な格安航空会社(LCC=ロー・コスト・キャリア)時代が到来。今年3月に就航した、全日空が出資するピーチ・アビエーションも好調で、今夏には日本航空系のジェットスター・ジャパンと全日空系のエアアジア・ジャパンも就航予定だ。

 そうしたなか、格安料金の航空会社の先駆け、スカイマークの徹底したコストダウン戦略が話題となっている。特にサービス面において、「そこまでやるか!」との声が利用者からあがっているのだ。

 冒頭は、同社のサービスコンセプトで全8項目。他にも次のような文言が続く。

〈客室乗務員は収納の援助をいたしません〉

〈客室乗務員の服装については会社支給のポロシャツまたはウインドブレイカーの着用だけを義務付けており、それ以外は「自由」にしております〉

〈客室乗務員の私語等について苦情を頂くことがありますが、客室乗務員は保安要員として搭乗勤務に就いており接客は補助的なものと位置付けております。お客様に直接関わりのない苦情についてはお受けいたしかねます〉

 客室乗務員に声をかけることすらはばかられる気がするが、格安を実現するにはここまで徹底しなければならないのか。

 航空評論家の杉浦一機氏は、次のように解説する。

「スカイマークは格安料金ですがLCCではありません。でも、これだけLCCが台頭してくると、さらなる低料金化が迫られる。そうした中で、サービスの簡素化を大胆に実施することで、コスト削減を図るのでしょう。

 イギリスのLCCにはトイレの有料化や立ち席も検討するなど、さらにサービスをドライにしているところもあります。日本人はフルサービスに慣れており、至れり尽くせりから脱却できていない。だからこそ、スカイマークのようにあえて明文化しなければいけないのかもしれません」

 このサービス方針に対し、スカイマークは、

「これまで実施してきておりますサービスのコンセプトを、お客様にわかりやすく表記したものになります。(中略)スカイマークの定時運航及び安全管理の順守の為、皆様にご理解をいただければと思います。(サービスコンセプトは)先週末から搭載を開始したばかりですので、(苦情の)お声はまだ頂戴しておりません」

 と説明した。

※週刊ポスト2012年6月8日号

関連記事

トピックス

10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン