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自殺率減らすにはアン肝、しらす干し、いわし食べること必要

 白澤卓二氏は1958年生まれ。順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学講座教授。アンチエイジングの第一人者として著書やテレビ出演も多い白澤氏が、自殺率を減らすための食事について解説する。

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 高齢者で「うつ」の症状を訴える人が増えている。高齢期に一旦「うつ」の状態に陥ると、元気な状態に戻るのに数年以上かかることも少なくない。

 7年前のことになるが、解剖学者の養老孟司先生と一緒に「高齢期のメンタリティと生きがい」というテーマで市民公開講座を開催したことがあった。討論の中で、養老先生から「うつ」の対極が「生きがい」であると教えてもらった。
 
 それ以来、私は「うつ予防」には「生きがい」の創出が必要で、「生きがい」は「心のときめき」によって生まれてくると考えるようになった。

「うつ」を予防するためには、「ときめき」も必要だが、脳がときめくためには脳の栄養も忘れてはならない。私は2008年より「心のときめき」を発見するためのアンチエイジングキャンプを企画している。そのキャンプでは「うつを予防する」食事にもチャレンジしている。

 最近とくに注目されている神経伝達物質が「セロトニン」。セロトニンはトリプトファンというアミノ酸から合成されるので、トリプトファンが豊富に含まれるバナナ、緑黄色野菜、赤身肉、チーズ、パイナップル、アボカド、大豆、カボチャの種などを積極的に食事に採り入れている。
 
 さらに脳でセロトニンを合成する時には、ビタミンB1、B6、葉酸などのビタミンや亜鉛、マグネシウムなどのミネラルが必要になる。アミノ酸やビタミンをしっかり摂取するためにはやはり肉、魚、卵、大豆製品をバランスよく摂らないといけない。

 糖質を摂り過ぎないことも重要なポイントだ。精製した白米や砂糖、白パンは急激に血糖値を上昇させ、血糖値を下げるホルモン「インスリン」を過剰に分泌させるので、かえって低血糖症を起こし、急に「キレたり」、「ウトウトしたり」する。
 
 そこでキャンプで間食として出しているのが、クルミやアーモンドなどのナッツ類。ナッツは良質なタンパク質と油が含まれているので、「うつ」を予防するのに最適だ。

 最近、ビタミンDが不足することにより「うつ」や自殺が増えていることが報告されている。特に北緯35度以上の東北地方では、冬は日照による紫外線が弱く日光浴による皮膚でのビタミンD合成が追いつかないことがわかった。
 
 自殺率を減らすためにも、アン肝、しらす干し、いわし、さけ、ニシン、すじこなどの魚の摂取が必要である。

※週刊ポスト2012年6月29日号

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