国内

低金利に沸く住宅ブーム 財務次官のマンション購入が後押し

 三菱東京UFJ銀行、りそな銀行など大手銀行がこぞって住宅ローン金利(10年固定型)を史上最低水準の1.35%にまで引き下げることを明らかにしたため、マイホーム取得を夢見る人たちに「絶好の“買い時”がやってきた」と煽る向きは多い。

 消費者の住宅購入マインドを後押ししているのは、金利の低下ばかりではない。不動産専門の情報サービス会社である東京カンテイの井出武・市場調査部主任研究員が解説する。

「2014年4月から消費税が上がる公算が大きいので、住宅購入にかかる税金は安いうちにと考えている人が多いのです。ただ、建物部分に消費税がかかるのは物件の引き渡し時なので、いまから着工を予定しているような大規模マンションでは間に合いません。そこで、デベロッパーは完成在庫と呼ばれる即入居可能な物件の販売攻勢をかけて消費増税前の駆け込み需要拡大を狙っています」

 特に、数年前では手も出なかったような「有明」や「豊洲」といった東京の湾岸エリアの高層マンションでは、休日にファミリー層がこぞって空き部屋を“物色”する動きが出ている、と都内の不動産業者は明かす。

 そんな駆け込み需要に真っ先に反応したのが、なんと消費税増税法案を取りまとめる立場の財務官僚だったというから驚きだ。

 FRIDAY8月3日号によると、「陰の総理」との異名を取る勝栄二郎・財務事務次官(62)が長年住んだ公務員宿舎を離れ、6900万円の借金をして港区内のタワーマンション(38階建て)に移り住んだという。

 同マンションの関係者が話す。

「ここは民放キー局の有名女子アナやジャニーズタレントも住んでいて、部屋によってはレインボーブリッジも見渡せる眺望のよさが人気です。また、24時間コンシェルジュが待機し、いつでも住人のクリーニングや宅配便を受け付けてくれます。築6年の物件なので資産価値は年々下がっているとは思いますが、上階の広い部屋ならいまでも1億円に近い価格で売れるでしょうね」

 とはいえ、長引くデフレとそれに伴う不動産価格の下落など、住宅購入派にはリスク要因も根深い。60歳を超えた勝氏が、“大借金”をしてまで高級マンションを購入したのは、果たして単に低金利や消費増税を睨んだタイミングだったから――だけなのか?

『さらば、デフレ不況』の著書もある経済評論家の廣宮孝信氏は、こんな深読みをする。

「本当に安くマンションを買うなら増税後の反動で価格が下がってからでも遅くはありません。いま政府や勝氏をはじめとした財務官僚は、増税後の名目GDP成長率を3%と想定し、法案の付帯条項にもつけています。でも、3%の成長を果たすためには増税だけでは到底無理な話で、いまのデフレを脱却させ、緩やかなインフレに持っていく積極財政が必要です。つまり、“経済通”でもある勝氏はその目標の実現可能性は大で、近い将来のインフレ転換とそれに伴う不動産価格の値上がりも視野に入れているのでは? と勘繰りたくもなりますよね」

 現役の財務次官が身をもって太鼓判を押したとなれば、今回のマイホームブームは本物なのかもしれない。

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン