スポーツ

甲子園のスカウト 試合の行方よりベンチ内での様子を重要視

 球児たちの晴れ舞台であると同時に、人生の岐路にもなり得るのが甲子園である。プロのスカウトたちはどんな思いで熱闘を見つめているのか。現地で取材を続けるノンフィクション・ライターの神田憲行氏が報告する。

 * * *
 今年もまた、バックネット裏に男たちが集結した。プロ野球スカウトたちである。彼らは全出場校が登場するまでネット裏に陣取り、朝から選手たちの動きをチェックするのに余念がない。試合の行方には興味がないから、第4試合の打順が二回りぐらいすると返ってしまう。一群が去った跡にポカンとあいたネット裏の空席は、そこに彼らがいた証でもある。

 とはいえ彼らは地方大会からずっとフォローしているので、あらかたの仕事は済んでいる。甲子園に来る理由は、あるスカウトはこういう。

 「2年生以下の選手を見るためと、試合外の仕草などを見るため。甲子園での成績はほとんど評価に影響しない」 

 たとえば優勝候補に挙げられながら初戦で敗退した愛工大名電の浜田達郎投手。浦添商戦で6点を失ったが、ドラフト上位候補であることは疑いがない。花巻東の大谷翔平投手はそもそも岩手大会で敗れて甲子園出場は叶わなかったが、「打撃でも投手としても、依然1位候補」という。

「甲子園での収穫は、なんといっても桐光学園の松井裕樹投手。2年生だけど、現時点で大阪桐蔭・藤浪晋太郎投手と同レベルの評価です」

 上位候補はまだいい。問題になるのが指名するのかしないのか、ぎりぎりのレベルにある選手である。むしろその見極めにスカウトの実力が問われてくる。そこで彼らが見るのは、実力の他に「プロ向きの性格がどうか」ということだ。指名するまで話すことを禁じられている選手の性格をどう見極めるか。

「試合前ノックやベンチ内での様子ですよ。用具を投げて後輩に渡したり、佇まいがだらしないと、プロの厳しい世界でやっていけるのか心配になる。高校野球よりもっと自分を律しないといけない世界ですから。これはテレビでは見られないので、現地まで行くしかない」

 もっともそういう選手を「やんちゃだからいい」と評価するスカウトもいる。

 ほとんどのスカウトは球団との1年契約。指名して断られたり、短期で自由契約になるような選手になると、自分の評価に直接跳ね返ってくる。

「結局、俺はこの子で勝負するという選手を探しに行く」

 スカウトたちにとっても、熱い夏である。

トピックス

アルジェリア人のダビア・ベンキレッド被告(TikTokより)
「少女の顔を無理やり股に引き寄せて…」「遺体は旅行用トランクで運び出した」12歳少女を殺害したアルジェリア人女性(27)が終身刑、3年間の事件に涙の決着【仏・女性犯罪者で初の判決】
NEWSポストセブン
19歳の時に性別適合手術を受けたタレント・はるな愛(時事通信フォト)
《私たちは女じゃない》性別適合手術から35年のタレント・はるな愛、親には“相談しない”⋯初めての術例に挑む執刀医に体を託して切り拓いた人生
NEWSポストセブン
ガールズメッセ2025」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
佳子さまの「清楚すぎる水玉ワンピース」から見える“紀子さまとの絆”  ロングワンピースもVネックの半袖タイプもドット柄で「よく似合う」の声続々
週刊ポスト
永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン
多くの外国人観光客などが渋谷のハロウィンを楽しんだ
《渋谷ハロウィン2025》「大麻の匂いがして……」土砂降り&厳戒態勢で“地下”や“クラブ”がホットスポット化、大通りは“ボヤ騒ぎ”で一時騒然
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(左・共同通信)
《熊による本格的な人間領域への侵攻》「人間をナメ切っている」“アーバン熊2.0”が「住宅街は安全でエサ(人間)がいっぱい」と知ってしまったワケ 
声優高槻かなこ。舞台や歌唱、配信など多岐にわたる活躍を見せる
【独占告白】声優・高槻かなこが語る「インド人との国際結婚」の真相 SNS上での「デマ情報拡散」や見知らぬ“足跡”に恐怖
NEWSポストセブン
人気キャラが出現するなど盛り上がりを見せたが、消防車が出動の場面も
渋谷のクラブで「いつでも女の子に(クスリ)混ぜますよ」と…警察の本気警備に“センター街離れ”で路上からクラブへ《渋谷ハロウィン2025ルポ》
NEWSポストセブン
クマによる被害
「走って逃げたら追い越され、正面から顔を…」「頭の肉が裂け頭蓋骨が見えた」北秋田市でクマに襲われた男性(68)が明かした被害の一部始終《考え方を変えないと被害は増える》
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン
「原点回帰」しつつある中川安奈・フリーアナ(本人のInstagramより)
《腰を突き出すトレーニング動画も…》中川安奈アナ、原点回帰の“けしからんインスタ投稿”で復活気配、NHK退社後の活躍のカギを握る“ラテン系のオープンなノリ”
NEWSポストセブン