ライフ

NHKドラマ「はつ恋」はひらがなだからいい、と女性ファン力説

 反響の大きさからスペシャル版での再放送が決まったNHKドラマ「はつ恋」。視聴者を魅きつける要因について、作家で五感生活研究所の山下柚実氏が分析する。

 * * *
 土曜日夜10時のNHK「ドラマ10」。メインターゲットがアラフォー女性のドラマ枠です。今、話題を一手に集めているのが木村佳乃主演の「はつ恋」(全8話)。初恋の人と再会し、愛する夫と子どもと、初恋の人との間で、少しずつ心を引き裂かれていく主人公。回を重ねるごとにじわじわと評判をあげ、最終回の視聴率は11.9%を記録。鈴木京香主演「セカンドバージン」の視聴率を上回り、この枠の最高視聴率をマークしました。

 放送が終了した後、視聴者からの反響が殺到し、すぐに再放送が決定。しかも、未公開シーンを盛り込んだディレクターズカットスペシャル版というから、NHKの力の入れようが伝わってきます。8月18日、BSプレミアムでそのスペシャル版がスタートしました。今年の残暑、ますますハマる女性たちが増殖しそうな気配です。

「こんなに泣いたのは久しぶり」「回をおうごとにハマってしまいました」「甘酸っぱくて、心をグラグラと揺さぶる」「家族がいても、恋がしたいと思ってしまうドラマ」……

 視聴率という「数字」を超えて、観ている女たちがともかく熱い。なんでこんなに熱いの? というくらい饒舌に感想を語る。話し出すと、もうとまらない。「はつ恋」の世界の中に入り込み、主人公に自分を重ねあわせて感情移入しているのが特徴です。

 「タイトルが『初恋』ではなくて、『はつ恋』。その違いが深いのよ。ひらがなだからいいの」。ハマッている女性が感想を熱く語ってくれました。

 はて? 「初恋」と「はつ恋」、なにがどう違う?

 「『初恋』というと決まり切った紋切り型のイメージがあるけれど、ひらがなを使うともっと純粋で、きれいな感じがする」

 「自分の『はつ恋』も同じだった」と言いたいのかもしれない。多くの女たちが、「私も本当は純粋だった」と感じているのかもしれない。そのあたり、ドラマに熱狂するヒントなのかも。

 奇しくも、福山雅治が2年ほど前にリリースしヒットした歌も「はつ恋」でした。

ラジオ番組で、「初恋」ではなく「はつ恋」とした理由を聞かれた福山氏は、「初恋の初は初体験に見えるし、『初』の字が好きじゃない」。

「初恋」は、初体験を想像する。つまり生々しい現実を。しかし、「はつ恋」は、こうあってほしいと願う美しいイリュージョン。

 妥協に満ちた現実生活をしばし見ないように脇に置き、別世界にうっとりと没入する術に長けている。

 それが女たちの特徴かも。つまり、「はつ恋」ブームは、「本当に好きだった人とは結婚できなかった」厳しい現実の中で、それでも元気に生きていくためのサバイバル術を示しているのかもしれません。 

 まだまだ続くスペシャル版の放映。「はつ恋」が放つ波紋、今後も見逃せません。


関連記事

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン