国内

日清「ラ王」の袋麺 カップで培った技術発揮と担当者自信

 袋麺市場のピーク時は1972年の年間37億食。だが、その前年から登場したカップ麺がその利便性や味のバリエーションの豊富さで徐々に袋麺のシェアを奪っていく。さらに草創期のヒット商品がそのまま定着したことで市場が縮小。近年は3年連続で総売り上げが下落していた――だがそんな市場に現在、変化が起きている。

 活性化する袋麺市場について、日本即席食品工業協会の任田耕一専務理事の話。

「震災によって自宅で家族と食卓を囲むナカ食が見直されたことも大きい。袋麺はカップ麺と違い、同じ鍋で家族分を一度に作れる。野菜や肉などの具材を入れて食べることもできます」

 機運の高まりを業界全体のチャンスとみた各社はこの秋、次々と新商品を投入する。業界関係者が明かす。

「マルちゃん正麺のヒットは麺の新製法以上に、発売元が東洋水産である点にショックを受けた。同社は『赤いきつね』『緑のたぬき』のヒットはあるものの製麺市場では目立った存在ではなかった。その会社に足下を揺るがされているようでは、大手は面子が立たない」

 首位奪還に燃えるのが日清食品だ。カップ麺の人気ブランド「日清ラ王」の袋麺を8月27日より関東甲信越、静岡で先行発売した。広報担当者の言葉は力強い。

「弊社の技術を結晶させた製品です。開発にあたってはチルド麺と食べ比べながら、生麺の食感に近づけていきました」

 開発期間は1年。麺の内層と外層で原料の配合比率を変えた「3層ストレートノンフライ麺」によって、外側につるみがあり、内側のコシが強い麺を実現させたという。

「湯をかけるだけで完成するカップ麺は、煮込んで作る袋麺よりも高い技術を必要とする。そのカップ麺で培った技術を今回の袋麺では発揮しています」(同前)

※週刊ポスト2012年9月28日号

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