国内

安倍晋三氏の自民総裁選出馬で「アベする」の言葉の意味が変化

 国のかたちが改めて問われている今、将来の総理大臣が決まることになるかもしれない自民党の総裁選に大人としてまったく無関心ではいられないだろう。ただ、そこに居並ぶ面々を見て、何とも複雑な思いに駆られているのが大人力コラムニストの石原壮一郎氏である。

 * * *
 もしかしたらあの言葉が、今度は別の意味で注目されてしまうのでしょうか。広まるきっかけを作った身としては、なんとも複雑な気分です。

 自由民主党の総裁選は、9月26日の投開票に向け、5人の候補者が基本的には似た主張をぶつけ合っています。新聞などによると、当初は優勢を伝えられていた石原伸晃幹事長が苦戦し、石破茂前政調会長と安倍晋三元首相が戦いを有利に進めているとか。次の国政選挙の結果によっては、自民党の総裁が総理大臣になる可能性も大いにあります。

 今回の自民党の総裁選で驚いたのが、5年前の9月に内閣総理大臣の職を放り出した安倍晋三元首相が、なぜか立候補していること。いろいろお考えはあるのでしょうが、自分で辞めておいて、また臆面もなくその座を伺うというのは、かなり大胆な行為です。

 安部元首相の立候補が報じられた後、自分から会社を辞めたり自分から恋人をふったりしたものの「やっぱりもう一回」を狙うという意味で、「俺もアベするかな」「私もアベしちゃおうかしら」と言っている声があちこちから聞こえ……てはいません。すいません。しかし、5年前の辞職のときは、いきなり責任を放り出せるものなら自分もそうしたいという意味で、何人かが「私もアベしちゃおうかな」などと言っていたのは耳にしました。

 そう、若い方やそれほどネットに漬かっていない健全な社会人の方はご存じないでしょうけど、かつてネット上で「アベする」をめぐる騒動が勃発したことがあります。安倍元首相の辞任会見を受けて、「周囲で『アベする』という言葉が流行っていてカナシイ」と新聞にコメントしたところ、私のブログのコメント欄が激しく炎上したり2chあたりでさんざん叩かれたりしました。いやはや、とんだ災難でした。

 そして現在、ひょっとして私が聞いたことがないだけで、すでに巷では「アベする」という言葉が、臆面もなくしゃしゃり出てくるという意味で使われているかも。これでもし、安倍さんがふたたび総理大臣になったら、奇跡の返り咲きという意味で「アベする」が広く使われるようになるのでしょうか。それはちょっと抵抗あるなあ……。

 私のコメントのせいで、ぜんぜん関係ない「安倍さん」が不愉快に感じたとしたら、そこは忸怩たる思いです。その代わりと言っては何ですが、石原伸晃幹事長にからめて、失言が多いという意味で「イシハラる」という言葉が生まれたり、どっかの都知事にからめて、自己満足のための浅はかな言動で国の平和を脅かす状況を招いておいて、いざ騒ぎが大きくなると知らん顔したり大人げなく責任を誰かに押しつけたりする、という意味で同じ言葉が生まれたとしても、黙って受け止める所存です。とくに後者の意味で「イシハラる」が使われるようになった場合は、どんどん広まることを願ってやみません。

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