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勝谷誠彦 菅原道真なら言う「中国とはつきあわないでいい」

『メルマガNEWSポストセブン』では、ビートたけし、森永卓郎、勝谷誠彦、吉田豪、山田美保子…など、様々なジャンルで活躍する論客が、毎号書き下ろしで時事批評を展開する。本サイトでは9月28日に配信された33号より「勝谷誠彦の今週のオピニオン」を2回に分けて全文公開する。

 * * *
『源氏物語』『土佐日記』『枕草子』『古今和歌集』。いずれも世界に誇るわが国の文学だが、共通点は何だかおわかりだろうか。答えは「国風文化」である。あっ、そんなのがあったなあ、とぼんやりと高校時代の日本史の教科書が思い出されてきましたか?

 おさらいしよう。寛平9年、菅原道真の建議によって、それまで長く続けられていた遣唐使が廃止になった。894年なので「白紙に戻す遣唐使」と年号を覚えたものだ。その結果、日本では独自の文化が発達した。それが国風文化なのだ。まさにいまに至る日本国の文化文明の基礎は、実にこの時期に築かれたと言っていいだろう。

 廃止の理由はいくつかあったが、私の理解としては「命がけで行くほどの意味がなくなった」からだと思う。当時、大陸は乱れに乱れていた。渡海そのものの危険もさることながら、あちらに滞在していた留学生にも危害が及ぶ可能性があった。だから菅原道真は「メリットとデメリット」を天秤にかけたのだろう。その結果が「国風文化」だ。遣唐使の中止は、あるいはメリットの方が大きかったかも知れない。なにごともやってみるものである。

 なぜこんなことを書き始めたかといえば、果たしていまの私たちにとっても、中国とつきあっていくメリットというのは、どのくらいあるのかと思ったからだ。日中国交回復40周年のイベントは中止となった。この40年の間を振り返ってみて、あなたや、あなたにどれほどのいいことがあっただろうか?

 バッタものの服を安く買えるようになった? 百均ショップが雨後の筍のように出現した? 冷静に立ち止まって考えてみて、それらはそんなに素晴らしいことだろうか。

 明らかに私たちが苦しんでいるデフレの大きな要因ではないか。一方で長年にわたり数兆円ものODAをたかられ、最初はタダで寄越したパンダもいつのまにか賃貸料をとられるようになった。

 カネのことは目をつぶるにしても、長年にわたって罵詈雑言を投げつけられ、ありもしない大虐殺や従軍慰安婦について世界中に鉦と太鼓で宣伝され、日本国の尊厳は明らかに毀損されてきた。

 そしてここのところの出来事である。国家としての最後の砦である領土領海に手を出し、あろうことか現地人を雇って中国経済の発展や雇用確保に貢献している企業を打ち壊し、まっとうに生きている在留邦人たちに殴り掛かってきたのである。

 平成の世に菅原道真がいれば「もうあんな国とはつきあわないでいい」と言うに違いない。「そんなことをすると日本経済が大変なことになる」と、大使の車の国旗が奪われた直後の日中友好イベントとやらで盆踊りをしていた、品性下劣な財界首脳などは言うかも知れない。だが、国家の尊厳や国民の生命財産と商売のどちらが大切なのか。

 道真ならばそう喝破して叱りつけるに違いないと私は思うのだ。

(続く。次回は10月4日木曜午前7時頃に公開予定)

※メルマガNEWSポストセブン33号

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