1回咳をすると、5kcal消費するといわれ、咳が続くと体力を消耗する。さらに就寝中の咳で睡眠不足になったり、電話や商談に影響するなど、慢性的な咳は日常生活に様々な影響が出る。
風邪など感染症の咳は3週間以内に治まるが、3週間をこえても咳が続く場合は、別の病気の可能性が高い。喫煙によるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、副鼻腔炎で鼻汁が喉に流れ落ちて咳が出る後鼻漏、逆流性食道炎などでも咳が続くが、日本人で特に頻度が高いのが咳ぜんそくだ。
御茶ノ水呼吸ケアクリニック(東京都千代田区)の村田朗院長に話を聞いた。
「咳ぜんそくは気道が炎症を起こして過敏になり、内外の刺激で咳が出ます。受動喫煙や運動、飲酒、ストレス、ハウスダストのほか、気候の変化も症状悪化の要因です。アレルギーの人に多いといわれ、風邪をひいた後に併発することもあります。秋になると急激に気温が下がり、特に患者が増えます」
咳ぜんそくは就寝時や深夜早朝に咳が悪化しやすい。ぜんそくと同じで、気道の炎症によって症状が起こるが、咳ぜんそくは痰や発熱、呼吸困難の発作もなく、空咳が1か月以上続くのが特徴だ。のどにイガイガ感があり、長く話していると声が嗄れたり、喉が乾燥するなどの症状を伴うことも多い。
(取材・構成/岩城レイ子)
※週刊ポスト2012年10月12日号