ビジネス

【ドル円週間見通し】7日発表の米雇用統計で上げ渋る展開も

 投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、12月6日~7日のドル・円相場の見通しを解説する。

 * * *
 今週のドル・円は、「安倍トレード」による円売りや83円00-50銭のオプション・トリガーの防戦売りが無くなることで強含みに推移することが予想されるものの、7日に発表される米国11月の雇用統計が悪化することが予想されていることで上げ渋る展開が予想される。ドル安・円高要因としては、米国11月の雇用統計が大幅に悪化した場合、米国の「財政の崖」に関する協議が難航した場合などが想定される。

【米国の「財政の崖」協議】
 オバマ米政権と共和党指導者の間で、実質的な期限である12月23日までの決着を目指して「財政の崖」に関する協議が行われており、財政の崖が回避される可能性が高まれば、ドル買い、難航した場合は、ドル売りとなる。

 財政の崖を回避することが困難な状況となった場合、緊急連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されて量的緩和第3弾(QE3)の増額が決定される可能性が高まることで、ドル売りに拍車がかかる可能性に要注意となる。

【米国11月雇用統計】(7日)
 米国の11月の雇用統計の予想は、失業率が7.9%(10月7.9%)、非農業部門雇用者数が+10.0万人(10月+17.1万人)となっている。

 雇用情勢が悪化していた場合、「財政の崖」が回避できるか否かにも拠るが、12月11-12日の連邦公開市場委員会(FOMC)で量的緩和第3弾(QE3)が増額される可能性が高まり、ドル売り要因となる。

【米系企業のリパトリ(外貨建て資産売却・ドル買い)】
 米系企業は、12月決算に向けて海外の利益を米国へ送金する取引、リパトリ(外貨建て資産売却・ドル買い)を行うため、ドルの底値は堅い展開が予想される。

【83円のオプション・トリガー満期】
 ドル・円相場は、83円に今年最大のペイアウトを持つオプション・トリガーが控えているが、12月4日頃に満期を迎えると言われている。83円の防戦売りが無くなった場合、ドル買い・円売り材料には反応しやすくなるため要注意か。

【テクニカル分析】
 ドル・円相場は、75円32銭を頭とする「逆ヘッド&ショルダーズ」を形成しており、ネックラインを上抜けた場合、9.40円程度の上昇が予想される。

 今週のネックラインは、83円15銭から83円13銭で推移しており、上抜けた場合は、目標値92円50銭処が点灯する。ネックラインを上抜けた場合、これまでのレンジ75円-85円が、85円-95円に移行する可能性が高まることになる。

 今週発表の主要経済指標のポイントは次の通りとなる。

○(米)11月ISM製造業景況指数 -- 3日(月)日本時間4日午前0時発表
・予想は、51.4
 参考指標となる10月ISM製造業景況指数の内訳「新規受注DI」は54.2と9月52.35から拡大。11月の各地区連銀公表の製造業関連指標は、ニューヨーク、リッチモンドは改善したが、フィラデルフィアは大幅悪化、ダラスはやや悪化している。コンセンサスは妥当か。

○(米)11月ADP雇用統計 -- 5日(水)日本時間午後10時15分発表
・予想は、+14.0万人
 調査期間である11/12を含む週の新規失業保険申請件数は、41万件←10月39.2万件に増加。失業保険継続受給者数も333.7万件←10月325.9万件と増加している。10月の+15.8万人を下回る可能性が高い。

○(米)11月ISM非製造業景況指数 -- 5日(水)日本時間6日午前0時発表
・予想は、53.7
 同指標の10月内訳で、先行性のある「新規受注」DIは54.8←9月57.7と低下。また、「在庫」DIは低下、「受注残」DIは上昇したが50を下回っている。新規受注の鈍化を考慮すると、コンセンサスは妥当か。

○(米)11月雇用統計 -- 7日(金)日本時間午後10時30分発表
・予想は、失業率は7.9%、非農業部門雇用者数は、前月比+10万人
 調査期間である11/12を含む週の新規失業保険申請件数は、41万件←10月39.2万件に増加。失業保険継続受給者数は333.7万件←10月325.9万件と増加している。ハリケーンの影響もあり、11月の雇用者増加数は10月の+17.1万人を下回る可能性が高い。失業率は非農業部門雇用者数の伸びが鈍化していることから、横ばいか。

 主な予定は、5日(水):(米)10月製造業受注指数、7日(金):(日)10月景気動向指数、(米)12月ミシガン大学消費者信頼感指数

【予想レンジ】
・ドル・円80円00銭-85円00銭

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン