国内

悪乗りが過ぎる安倍晋三氏 財務省の“お墨付き”得たからか

 日銀に対する発言など、安倍晋三・自民党総裁の軽口が止まらない。過激な発言が止まらない背景には何があるのか。ジャーナリストの須田慎一郎が解説する。

 * * *
 自民党の安倍晋三総裁から景気対策に関して大胆な発言が次々に飛び出している。最たるものは、内閣が日銀総裁の解任権を持つように日銀法を改正すべしというものと、日銀は無制限の金融緩和を実施すべきというものだ。

 さらに口が滑ったのか、「建設国債をできれば日銀に全額買ってもらうことで強制的にマネーが市場に出ていく」と建設国債の直接引き受けを要求したと解釈できる発言をしていた。さすがにこれは後になって軌道修正を図った。それにしても自民党が突如として日銀を目の敵にし始めたのはなぜか。

「自民党が政権与党に復帰した際に、10年間で200兆円の公共事業投資の実施を約束する『国土強靱化基本法案』の成立を目論んでいるのは周知の通り。その財源を確保するために日銀にはもっと国債を買い入れて欲しい、というのが安倍氏の考えだ」(自民党の有力国会議員)

 そして、安倍氏をはじめとする自民党の公共事業投資拡大派の目には、日銀が実施している金融緩和策はまだまだ不十分と映っているのだ。

 だが、前出の議員は苦言を呈する。

「さすがに最近の安倍総裁の発言は悪乗りが過ぎる。背景には財務省の“お墨付き”を得たとの自信があるようだ」

 公共事業拡大路線は財務省にとっても願ったりかなったりだ。というのも財務省の最大の関心事は消費増税の予定通りの実施に他ならない。財務省関係者がこう言い放つ。

「2014年10月に消費税率を8%に引き上げるためには、何が何でも2013年4~6月期の景気動向を上昇基調にしておく必要がある。なぜなら改正法の“景気条項”によって、景気が回復しなければ税率を上げられないからだ。景気を良くするためだったら公共事業投資だって何だってバンバンやったらいい」

 そもそも財務省は自民党総裁に復帰する前段階から安倍氏との間に親密な太いパイプを築いてきた。そうした意味では、両者の思惑は完全に一致していると見ていい。

 日銀は苦しい状況に追い込まれてしまったようだ。

※SAPIO2013年1月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

10月に公然わいせつ罪で逮捕された草間リチャード敬太被告
《グループ脱退を発表》「Aぇ! group」草間リチャード敬太、逮捕直前に見せていた「マスク姿での奇行」 公然わいせつで略式起訴【マスク姿で周囲を徘徊】
NEWSポストセブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《梨園に誕生する元アイドルの嫁姑》三田寛子と能條愛未の関係はうまくいくか? 乃木坂46時代の経験も強み、義母に素直に甘えられるかがカギに
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(クマの画像はサンプルです/2023年秋田県でクマに襲われ負傷した男性)
ヒグマが自動車事故と同等の力で夫の皮膚や体内組織を損傷…60代夫婦が「熊の通り道」で直面した“衝撃の恐怖体験”《2000年代に発生したクマ被害》
NEWSポストセブン
対談を行った歌人の俵万智さんと動物言語学者の鈴木俊貴さん
歌人・俵万智さんと「鳥の言葉がわかる」鈴木俊貴さんが送る令和の子どもたちへメッセージ「体験を言葉で振り返る時間こそが人間のいとなみ」【特別対談】
NEWSポストセブン
大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン
佳子さまの“ショッキングピンク”のドレスが話題に(時事通信フォト)
《5万円超の“蛍光ピンク服”》佳子さまがお召しになった“推しブランド”…過去にもロイヤルブルーの “イロチ”ドレス、ブラジル訪問では「カメリアワンピース」が話題に
NEWSポストセブン
「横浜アンパンマンこどもミュージアム」でパパ同士のケンカが拡散された(目撃者提供)
《フル動画入手》アンパンマンショー“パパ同士のケンカ”のきっかけは戦慄の頭突き…目撃者が語る 施設側は「今後もスタッフ一丸となって対応」
NEWSポストセブン
大谷翔平を支え続けた真美子さん
《大谷翔平よりもスゴイ?》真美子さんの完璧“MVP妻”伝説「奥様会へのお土産は1万5000円のケーキ」「パレードでスポンサー企業のペットボトル」…“夫婦でCM共演”への期待も
週刊ポスト
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン