国際情報

習近平氏 母にとかく電話で相談持ちかけたマザコンとの評も

 人治政治がはびこる中国では、権力闘争は時に愛憎が絡み合う泥沼の様相を呈する。ジャーナリスト・相馬勝氏が習近平氏と母・斉心氏の関係についてレポートする。(文中敬称略)

 * * *
 習近平は12月7日、事実上の中国の最高指導者である中国共産党総書記に就任後、初の地方視察地として広東省深セン市を訪問。午後3時過ぎに深セン空港に降り立ち、市内各所を回ったあと、要人が宿泊する深セン迎賓館1号楼で静養中の斉心と再会した。

 斉心はすでに86歳。毎年、春節(旧正月)には深圳市の地元幹部の慰問を受けるが、老齢の割に記憶力も衰えず、かくしゃくとしていて、まだまだ元気だという。深セン経済特区を創設した夫・習仲勲が広東省最高幹部として活躍していたころの苦労話をするなど、改革・開放の先駆者を支えた糟糠の妻として、いまだにその威厳を保っている。

 習近平は25年間の地方幹部時代、何かあると気丈な母に電話や手紙で相談を持ちかけており、党最高指導部入りしたあとも頭が上がらないほどの“マザコン”といわれる。中国の最高指導者への道を駆け上がっていったのも母の支えがあればこそで、「習近平の最大のブレーン」と評する向きさえある。

「習近平が中国共産党のトップとして深センを最初の地方視察の地に選んだのは、もちろん斉心が深センに住んでいることが大きな理由だった」と中国政府筋は指摘する。

 深センは父・習仲勲と斉心、さらに習近平にとっても忘れがたい地だった。広東省は習仲勲にとって起死回生の地でもある。文化大革命(1966~1976年)による失脚から復権し、鄧小平が提唱した改革・開放路線を広東省で軌道に乗せたからだ。とりわけ深センは当時、最大の経済特区であり、「改革・開放のショーウィンドウ」と呼ばれた先進的モデルケースだった。

 鄧小平が「改革・開放の総設計士」と讃えられれば、習仲勲は「経済特区の父」と並び称された。習仲勲はその功績が認められて中央に戻り、党政治局入りして改革派の胡耀邦・総書記を支えた。

 その下で改革路線の推進に尽力したが、胡耀邦ら改革派と、改革に反対する保守派の間で激しい権力闘争が展開され、胡耀邦は1987年、学生の民主化運動をきっかけに失脚。習仲勲も党政治局員を解任され、全国人民代表大会(全人代)副委員長という閑職に回されたのである。

  習仲勲は任期を終えると、文字通り都落ちして深センに移り住み、忸怩たる思いで不遇な晩年を送る。その失意の夫に寄り添い、心身ともに支えたのが斉心だった。習近平は2度にわたり党に裏切られた父を見て権力闘争の熾烈を痛感し、「いつの日か、父の無念を晴らそう」と決意したに違いない。

※SAPIO2013年2月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

書類送検されたことが報じられら米倉涼子
米倉涼子、近く表舞台に復帰へ…麻薬取締法違反の容疑で書類送検も「一区切りついたと認識」で進む映画の完成披露試写会の最終調整 メディアの質問はNGに
NEWSポストセブン
茨城県水戸市のアパートでネイリストの小松本遥さん(31)が殺害された事件で1月21日、元交際相手の大内拓実容疑者(28)が逮捕された
“ストーカー魔”大内拓実容疑者の事件当日の足どりを取材 ツーリング仲間の母親は「悪い子じゃない」「友達だったことは間違いないですが…」 《水戸市・ネイリスト女性刺殺》
NEWSポストセブン
年頭視閲式に出席された皇后雅子さま(2026年1月23日、撮影/JMPA)
《品位と品格を感じる》雅子さま、10年前にもお召しになったロングコートでご出席 皇宮警察へのお気持ちが感じられる天皇ご一家の青系リンクコーデ
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「自宅で運動する」オフシーズンとは
《真美子さんのヘルシーな筋肉美》大谷翔平夫妻がリフレッシュする「自宅で運動する」オフシーズン…27万円の“肩出しドレス”を晩餐会に選んだ「別人級の変貌」
NEWSポストセブン
「憲法改正」議論も今後進むか(高市早苗・首相/時事通信フォト)
《改憲勢力で3分の2超の予測も》総選挙後・政界大再編のカギとなる「憲法改正」 “安倍政権でさえ改憲原案提出なし”というハードルの高さ 高市首相に問われる決意と覚悟
週刊ポスト
書類送検で米倉涼子の芸能活動はどう変わるか
《麻薬取締法違反の疑いで書類送検》米倉涼子、今後の芸能活動はどうなる? 当面地上波は難しく配信を軸に活動か、“語学も堪能”で海外にシフトする可能性も
週刊ポスト
イギリス出身のお騒がせインフルエンサー、ボニー・ブルー(TikTokより)
《歩いて帰れるかどうか不安》金髪美女インフルエンサー(26)が“12時間で1057人と関係を持つ”自己ベスト更新企画を延期した背景
NEWSポストセブン
中道から秋波を送られている石破茂・前首相(時事通信フォト)
《本人は否定しても、高まる期待》石破茂・前首相に中道との合流を後押しする人たちの声「これまでの野党にない必死さがある」「高市政権の暴走を止める決断を」
週刊ポスト
年越しはイスタンブールで過ごした渚さん(Instagramより)
「生きてみるのも悪くない、とほんの少し思えた」 渡邊渚さんが綴る「年越しを過ごしたイスタンブールの旅」
NEWSポストセブン
Netflixドラマ『地獄に堕ちるわよ』にて細木数子さん役を演じる戸田恵梨香(時事通信フォト)
《出産から約3年》女優・戸田恵梨香の本格復帰が夫婦にとって“絶妙なタイミング”だった理由…夫・松坂桃李は「大河クランクイン」を控えて
NEWSポストセブン
総選挙をきっかけに政界再編が大きく進むか(時事通信フォト)
《解散総選挙・政界大再編の胎動》自民も立憲も国民も分裂か “高市首相を中心とした急進保守勢力”と“自民党の穏健保守を含む中道・リベラル勢力”に大きく分かれていく流れ
週刊ポスト
宮崎あおいと岡田准一の円満な夫婦仲(時事通信)
《女優・宮崎あおいと4児の子育て》岡田准一「週6ジム通い」の柔術ライフを可能にする“夫婦円満”の秘訣
NEWSポストセブン