ビジネス

日本経済 アベノミクスとは別の“内需”という矢当たる状態

 日経平均株価がリーマン・ショック前の水準を回復する中、「安倍バブル」が弾けるのかそうでないのかに市場参加者の関心が集まり、巷では参院選を契機に株価が大きく下がるという「7月天井説」も出ている。

「今の状況はまだまだバブルとは言えない」と不安説を一蹴するのは、株式情報を配信する「ストックボイス」キャスターで株式アナリストの鈴木一之氏だ。

「株価水準を判断する指標であるPBR(株価純資産倍率)は、これまで1倍割れという異常とも言える割安水準にありました。それが3~4倍まで膨らめばバブルと言えますが、東証一部上場の株式全体を対象としている株価指数・TOPIX(3月28日時点で1036ポイント)のPBRはようやく1倍を上回ったところ。

 過去のデータから見て、“標準”と言える1.5倍になる水準は1200ポイントです。これを日経平均に換算すると1万4400円前後ですから、少なくともそこまでは上がると見ています。

 ただし一本調子ではなく、5月ごろから7月の参院選に向けて様子見ムードからいったん下げ、自民党圧勝となれば10月にかけて再び上昇。そして早ければ来年3月にも1万4400円といった展開が予想されます」

 とはいえ、少子高齢化をはじめ難題山積の日本経済が広くあまねく成長できるわけではない、と同氏は付け加える。 「ITバブルの頃もそうだったように、今後は全体の10%ほどにすぎない一部の産業が20%成長するという世界になり、それによって日本はどうにか2%成長を達成していく可能性が高い」

 では、選別されて成長を遂げる「10%の企業」はどこなのか。再び鈴木氏。

「安倍首相は意図していなかったでしょうが、今は金融緩和、財政出動、成長戦略というアベノミクスの3本の矢とは別に、“4本目の矢”が当たった状態です。それは『内需』。

 たとえばある百貨店では高級グラスが昨年の3割増の勢いで売れているという。旅行も紳士服も好調です。1500兆円と言われる個人金融資産が雪解け水のように流れ出し、消費に向かい始めています。百貨店の客足が伸びているのは個人消費回復の象徴ですが、今後は高級品だけではなくさまざまな分野で消費が広がることが期待できます。それを享受できる企業は成長が見込めるでしょう」

 鈴木氏は、「失われた20年」の環境下でも「最高益を更新している」「近年、社員数を増やしている」などの条件で企業をスクリーニング。その中でも、広く個人消費が回復した際にその恩恵が期待できる価格比較サイト運営のカカクコムや、衣料・雑貨のセレクトショップを展開するユナイテッドアローズなどに注目しているという。

 また、鈴木氏は不動産セクターも有望視する。アベノミクスが掲げるインフレ目標に伴って地価上昇が見込まれ、不動産を活用して事業を展開する「土地持ち企業」の含み益が拡大するのは必至だ。 「例えば東京建物はこれまでの全面高相場の中で出遅れており、今後長い目で見て上昇が望めるでしょう」(同氏)

 いずれも、参院選を控えて相場全体が調整局面を迎えた時が「買い場」になりそうだ。

※SAPIO2013年5月号

関連記事

トピックス

大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン
佳子さまの“ショッキングピンク”のドレスが話題に(時事通信フォト)
《5万円超の“蛍光ピンク服”》佳子さまがお召しになった“推しブランド”…過去にもロイヤルブルーの “イロチ”ドレス、ブラジル訪問では「カメリアワンピース」が話題に
NEWSポストセブン
「横浜アンパンマンこどもミュージアム」でパパ同士のケンカが拡散された(目撃者提供)
《フル動画入手》アンパンマンショー“パパ同士のケンカ”のきっかけは戦慄の頭突き…目撃者が語る 施設側は「今後もスタッフ一丸となって対応」
NEWSポストセブン
大谷翔平を支え続けた真美子さん
《大谷翔平よりもスゴイ?》真美子さんの完璧“MVP妻”伝説「奥様会へのお土産は1万5000円のケーキ」「パレードでスポンサー企業のペットボトル」…“夫婦でCM共演”への期待も
週刊ポスト
結婚を発表したPerfumeの“あ~ちゃん”こと西脇綾香(時事通信フォト)
「夫婦別姓を日本でも取り入れて」 Perfume・あ〜ちゃん、ポーター創業の“吉田家”入りでファンが思い返した過去発言
NEWSポストセブン
(写真右/Getty Images、左・撮影/横田紋子)
高市早苗首相が異例の“買春行為の罰則化の検討”に言及 世界では“買う側”に罰則を科すのが先進国のスタンダード 日本の法律が抱える構造的な矛盾 
女性セブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン
佳子さまの「多幸感メイク」驚きの声(2025年11月9日、写真/JMPA)
《最旬の「多幸感メイク」に驚きの声》佳子さま、“ふわふわ清楚ワンピース”の装いでメイクの印象を一変させていた 美容関係者は「この“すっぴん風”はまさに今季のトレンド」と称賛
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
ラオスに滞在中の天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《ラオスの民族衣装も》愛子さま、動きやすいパンツスタイルでご視察 現地に寄り添うお気持ちあふれるコーデ
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン