ライフ

洗濯機、白黒テレビ、冷蔵庫の“三種の神器”はどう進化したか

 1950 年代後半、洗濯機、白黒テレビ、冷蔵庫の家電3製品は“三種の神器”と呼ばれた。1960 年代になると広く家庭でも使われるようになったが、それから50年、この3製品はどのように進化してきたのか?

 洗濯機は、アメリカの「攪拌式」、ヨーロッパの「ドラム式」などを参考にしながら進化。

「当社『うず潮』などが代表ですが、日本は『パルセータ』と呼ばれる回転羽根で渦巻きを作り洗濯をする『渦巻き式』が発達しました」(パナソニック広報・山田一郎さん)

 1960 年代は2槽式が主流。洗った衣類をずるずるっと脱水槽に手作業で移し、脱水作業をする洗濯法が定番だった。

 1980 年代になると徐々に「全自動」と呼ばれる1槽式の洗濯機が普及。主婦の重労働だった洗濯がボタンひとつで脱水までできるようになった。2000 年以降、洗濯機は多様化し、夜間利用のための静音対策機能を持つものなど、ライフスタイルに合わせて使える商品が増えていった。

 そして現在、急激に売れているのが「ドラム式」だ。高級洗濯乾燥機はドラム式が主流となり、省エネ性能が重視。最新のものはスマートフォンでの洗濯設定も可能だ。

 テレビは1950 年代まではまだ“街頭テレビ”が主役だったが、1960 年代半ばから“一家に1台”の時代に。以降、現在まで家族の団欒の中心にテレビが置かれるようになった。

 1970 年の大阪万国博覧会のころ、日立『キドカラー』が人気に。ブラウン管以外の真空管部品をトランジスタに変更、消費電力を少なくし、さらなる工夫を加え起動を早くした。

「当時のテレビはスイッチを入れてから温まるまですぐに画面が出ませんでした。当社のキドカラーは『ポンと押せばパッと出る』ので『ポンパ』という愛称に」(日立製作所広報部・竹谷未希人さん)

 低価格化や小型化が進み、1970 年の生産台数は640万台と、1965 年の65倍以上に。娯楽目的だけではなく情報ツールとしての役割も増した。1984 年のBS放送開始で大画面化。2011 年の地上デジタル放送への完全移行でデジタルハイビジョン化するなど、放送の方式変更で機器も進化した。

「わが国初の冷蔵庫は東芝が作ったもので、それ以前は断熱したケースに氷を入れて冷やしていたものです」(東芝科学館館長付・荘司金秋さん)

 冷蔵庫の進化は、冷媒の圧縮のためのコンプレッサーの小型化、断熱材の薄型化が基本となる。

「1960 年代になると断熱材が半分になり、扉の内側にポケットが付くようになります。これにより収納力が増し、使いやすさが向上しました」(荘司さん)

 自動霜取り装置が付いたものも登場。また、当初は1ドアだったが、1960 年代後半、2ドアになり冷凍室が独立したことで、主婦は毎日買い物に行くというスタイルから食材をまとめ買いすることができるようになった。

 1970 年代には野菜室などが採用され、1980 年代からはさまざまな温度で食材を保存し、より鮮度を保つことも可能に。

 最近の注目機能は節電。24時間スイッチを入れっぱなしの家電だからこそ、省エネ・節電の効果は大きいといえる。

※女性セブン2013年5月30日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷の「二刀流登板日」に私服で観戦した真美子さん(共同通信)
「私服姿の真美子さんが駆けつけて…」大谷翔平が妻を招いた「二刀流登板日」、インタビューに「今がキャリアの頂上」と語った“覚悟と焦燥”
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚を発表した(左・Instagramより)
《お腹にそっと手を当てて》ひとり娘の趣里は区役所を訪れ…背中を押す水谷豊・伊藤蘭、育んできた3人家族の「絆」
NEWSポストセブン
過去にも”ストーカー殺人未遂”で逮捕されていた谷本将志容疑者(35)。判決文にはその衝撃の犯行内容が記されていた(共同通信)
《前科は懲役2年6か月執行猶予5年》「ストーカーだけでなく盗撮も…」「5回オートロックすり抜け」公判でも“相当悪質”と指摘された谷本将志容疑者の“首締め告白事件”の内幕
NEWSポストセブン
硬式野球部監督の退任が発表された広陵高校・中井哲之氏
【広陵野球部・暴力問題で被害者父が告白】中井監督の退任後も「学校から連絡なし」…ほとぼり冷めたら復帰する可能性も 学校側は「警察の捜査に誠実に対応中」と回答
NEWSポストセブン
隆盛する女性用ファンタジーマッサージの配信番組が企画されていたという(左はイメージ、右は東京秘密基地HPより)
グローバル動画配信サービスが「女性用ファンタジーマッサージ店」と進めていた「男性セラピストのオーディション番組」、出演した20代女性が語った“撮影現場”「有名女性タレントがマッサージを受け、男性の施術を評価して…」
NEWSポストセブン
海外SNSで大流行している“ニッキー・チャレンジ”(Instagramより)
【ピンヒールで危険な姿勢に…】海外SNSで大流行“ニッキー・チャレンジ”、生後2週間の赤ちゃんを巻き込んだインフルエンサーの動画に非難殺到
NEWSポストセブン
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
NEWSポストセブン
Benjamin パクチー(Xより)
「鎌倉でぷりぷりたんす」観光名所で胸部を露出するアイドルのSNSが物議…運営は「ファッションの認識」と説明、鎌倉市は「周囲へのご配慮をお願いいたします」
NEWSポストセブン
逮捕された谷本容疑者と、事件直前の無断欠勤の証拠メッセージ(左・共同通信)
「(首絞め前科の)言いワケも『そんなことしてない』って…」“神戸市つきまとい刺殺”谷本将志容疑者の“ナゾの虚言グセ”《11年間勤めた会社の社長が証言》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“タダで行為できます”の海外インフルエンサー女性(26)が男性と「複数で絡み合って」…テレビ番組で過激シーン放送で物議《英・公共放送が制作》
NEWSポストセブン
谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン