国内

株上昇を喜ぶ麻生副総理にFP「株価に一喜一憂は素人」と指摘

 新聞各紙の世論調査では、アベノミクスで景気回復を「実感できない」という回答が軒並み7~8割に達している。どうやら国民の間でも安倍マジックの底が割れてきたようだ。

 だから、きっと誰かが言い出すだろうと思っていた矢先、麻生太郎・副総理がこういってのけた。

「『株価が上がっても株は持ってないので関係ない』という人もいると思うが、年金は株式の運用で成り立っている。7月に年金の運用状況が出てくるが、ウン兆円の黒字になる。アベノミクスは株だけではない。一番肝心の社会保障の元の元も稼ぎ出している」(5月18日、札幌市内での講演)

 株が上がれば年金運用が儲かり、国民にも恩恵が回るという“風桶理論”を披露したわけだ。

 目の前に7月の参院選での勝利がぶら下がっているこの政権は、安倍首相の持論である憲法96条改正も国防軍創設も封印し、あくまで景気回復を喧伝して一点突破をはかる構えだ。

 しかし、麻生氏の言葉を鵜呑みにするのはちょっと待ってほしい。ファイナンシャルプランナーの紀平正幸氏は、「麻生さんは年金運用のイロハがわかっていない」とこう指摘する。

「年金資金は国内株式に14.5兆円、国債を中心とした国内債券に67兆円、外国の株と債権に25兆円などと、分散投資されている。

 日経平均株価はこの1月から1.5倍に上がったので、たしかに日本株の含み益が7兆円程度増えてもおかしくない。しかし、その一方で国債の先物価格は3月以降約3%下落しており、最大2兆円くらいの含み損を抱えている可能性がある。さらに海外のヘッジファンドは日本国債の売りで大儲けするチャンスを狙っていると見られており、それで国債価格が急落すれば年金の含み損が一気に拡大するリスクがある。

 株の値上がりとはいっても多くは含み益の段階で、将来、株価が下がれば消えてなくなるのも当然のことです。そのように運用はポートフォリオ全体で考えるのが鉄則で、目先の株価に一喜一憂するのは素人です」

※週刊ポスト2013年6月7日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

TOKIOの国分太一(右/時事通信フォトより)
《あだ名はジャニーズの風紀委員》無期限活動休止・国分太一の“イジリ系素顔”「しっかりしている分、怒ると“ネチネチ系”で…」 “セクハラに該当”との情報も
NEWSポストセブン
月9ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』主演の中井貴一と小泉今日子
今春最大の話題作『最後から二番目の恋』最終話で見届けたい3つの着地点 “続・続・続編”の可能性は? 
NEWSポストセブン
『ザ!鉄腕!DASH!!』降板が決まったTOKIOの国分太一
《どうなる“新宿DASH”》「春先から見かけない」「撮影の頻度が激減して…」国分太一の名物コーナーのロケ現場に起きていた“異変”【鉄腕DASHを降板】
NEWSポストセブン
日本のエースとして君臨した“マエケン”こと前田健太投手(本人のインスタグラムより)
《途絶えたSNS更新》前田健太投手、元女子アナ妻が緊急渡米の目的「カラオケやラーメン…日本での生活を満喫」から一転 32枚の大量写真に込められた意味
NEWSポストセブン
出廷した水原被告(右は妻とともに住んでいたニューポートビーチの自宅)
《水原一平がついに収監》最愛の妻・Aさんが姿を消した…「両親を亡くし、家族は一平さんだけ」刑務所行きの夫を待ち受ける「囚人同士の性的嫌がらせ」
NEWSポストセブン
中世史研究者の本郷恵子氏(本人提供)
【「愛子天皇」の誕生を願う有識者が提言】中世史研究者・本郷恵子氏「旧皇族男子の養子案は女性皇族の“使い捨て”につながる」
週刊ポスト
夫・井上康生の不倫報道から2年(左・HPより)
《柔道・井上康生の黒帯バスローブ不倫報道から2年》妻・東原亜希の選択した沈黙の「返し技」、夫は国際柔道連盟の新理事に就任の大出世
NEWSポストセブン
新潟で農業を学ことを宣言したローラ
《現地徹底取材》本名「佐藤えり」公開のローラが始めたニッポンの農業への“本気度”「黒のショートパンツをはいて、すごくスタイルが良くて」目撃した女性が証言
NEWSポストセブン
妻とは2015年に結婚した国分太一
《セクハラに該当する行為》TOKIO・国分太一、元テレビ局員の年下妻への“裏切り”「調子に乗るなと言ってくれる」存在
NEWSポストセブン
1985年春、ハワイにて。ファースト写真集撮影時
《突然の訃報に「我慢してください」》“芸能界の父”が明かした中山美穂さんの最期、「警察から帰された美穂との対面」と検死の結果
NEWSポストセブン
無期限の活動休止を発表した国分太一
「給料もらっているんだからさ〜」国分太一、若手スタッフが気遣った“良かれと思って”発言 副社長としては「即レス・フッ軽」で業界関係者から高評価
NEWSポストセブン
ブラジル訪問を終えられた佳子さま(時事通信フォト)
《クッキーにケーキ、ゼリー菓子を…》佳子さま、ブラジル国内線のエコノミー席に居合わせた乗客が明かした機内での様子
NEWSポストセブン