ライフ

子宮頚がん 避妊具使ってもウイルス(HPV)を予防できない

 今年4月から小学6年生から高校1年生の女子を対象に子宮頸がんワクチンの接種が無料化された。ところが、ワクチンによる副作用を示す人が続出し、厚労省の専門家検討部会が6月半ばに出した結論も「定期接種は中止しないが積極的には勧めない」という歯切れが悪いものだった。実は、男性も大きく関係しているこの病気について、専門家の最新知見をもとに解説していこう。

●がん罹患のサインは「セックス時の出血」

 実は、早期の子宮頸がんには自覚症状がほとんどない。稀にセックスのときに出血がみられる程度なのだ。

「初期にはまったく症状がないことがほとんど」とファルメディコ株式会社代表取締役社長で、医師の狭間研至氏が語った。

「ですから、気づいたときにはがんが進行していることも少なくないのです。すると、子宮をすべて摘出する手術が必要になることもありますし、まわりの臓器にもがんが広がっていれば、それも摘出しなければならなくなり、命にかかわることもあります」

●進行の速度は10年

 感染から進行がんに至るまでには5~10年かかる。麻布十番まなみウィメンズクリニックの今井愛院長はいう。

「発覚時からさかのぼると、感染したのは10年前ということも多い。だれからもらったのかを探り当てるのは相当難しい」

●コンドームを使えば感染は防げる?

 答えはノーだ。

「ある一定の予防効果は得られますが、子宮頚がんを起こすウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)というのは、性器の周辺についているので、一部だけをコンドームで覆っても予防できません」(今井院長)

 手を介して感染することも報告されている。

●ワクチンで7割が予防できる

 ウイルス感染が原因と判明しているため、かねてよりワクチンの重要性が訴えられていた。

「性体験をする前に、ワクチンを接種すれば7割のがん予防効果があるといわれています」と今井院長。既に初体験をすました20代、30代以上でも、予防接種は効果を持つ。さらに欧米では、男性にもワクチン接種する動きが広まっている。

「オーストラリアではすでに、男性にもワクチンを打っています」(今井院長)

※週刊ポスト2013年7月12日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン