ライフ

「木造小学校ではインフルエンザにかかりにくい」と専門家

 7月から「木材利用ポイント事業」が始まった。森林資源を循環利用し、地球温暖化の防止にもつながる木材の利用促進が目的の、いわばエコポイント木材版。木造住宅や木材製品の購入に、いろいろな商品と交換できるポイントがついてくる。1ポイント=1円で、さまざまな商品と交換できる仕組みは家電エコポイントと同様。

 今回、ポイント対象になるのは木造住宅の新築や、床をフローリングにするなどの内外装のリフォーム、木材製品、木質ペレットストーブと薪ストーブだ。新築で30万ポイント(東日本大震災特定被災区域では50万ポイント)、リフォームの場合、最大で30万ポイントになる。平成26年3月31日までに購入するものが対象だ。

 家を建てたりリフォームなんて当分しないから、木材利用ポイントと自分は縁がないと思うかもしれない。だが、木材利用ポイント事務局HPで紹介される家具などの木材利用ポイント対象木材製品を買っても、価格の1割近いポイントが取得できる。ソファやテーブル、イスやベッドなら購入する可能性があるだろう。

 取得したポイントで交換できるものは、地域の農林水産品等、商品券のほか、森林トレッキングツアーとセットになった旅行など幅広い。ポイント対象となった工事とは別の木材を使う工事をする場合、その費用に充てることもできる。

 林野庁主体で施行されたこの事業の目的は、木材の消費を増やして、森林の環境保全や地域の経済振興に役立てること。ポイント対象の木はスギ、ヒノキ、カラマツ、トドマツなど主に国産材だ。

 では国産材を使うことは、私たち消費者にとって、どんなメリットがあるのだろうか?

 環境問題に詳しいユニバーサルデザイン総合研究所所長の赤池学さんに、木を使うことのメリットを聞くと、木造が鉄筋コンクリートより優れている一番のポイントは”調湿性”だという。

「木造の小学校では子どもたちがインフルエンザにかかりにくいというデータがあります。その理由のひとつは木のもつ調湿性。室内の湿度が高ければ水分を吸収し、低ければ水分をはき出す性能です。その結果、冬も適度な湿度が保たれ、風邪を引きにくい。樹脂製の壁紙を多用した家では結露しやすく、その結露がもとになってカビやアトピーの問題が出てきます。特に子供や高齢者がいらっしゃる家は木造のほうが安心ですね」

 木の家は何といっても健康にいい。また壁や天井に木を使うことは視覚や聴覚にもやさしく、さらには“頭”にもいい効果があるらしい。

「木目を見ているとホッとするでしょう? 木目のランダムな模様に癒し効果があるのです。また木の表面にある小さな無数のデコボコが光を乱分散させます。ログハウスや木の壁で囲まれた室内の明かりが柔らかく感じられるのは、そのためですよ。音も適度に吸収してくれるので、反響が少なく、やさしく聞こえますね。近年、大きい声で怒鳴るように話す子供が増えてきましたが、木造の小学校ではそういう子供が少ないそうです」

 木材利用ポイントを、たとえば木目に部屋をリフォームする、いい機会にしてほしいと赤池さんはアドバイスする。

「たとえば6畳の子供部屋やリビングの床をフローリングに張り替えたりする工事もポイントの対象になります。

 日本の国土の約7割が森林です。そのなかには手入れが行き届かず、伐採も植林もできない森が少なくありません。木の利用を増やすことで森林の整備が進められるようになります。それが水源や生き物の多様性を守り、土砂の流出を防ぎ、国土の保全につながるのです」

 適切に木材を使うことは森林を守り、CO2の吸収を増やす。木材利用ポイントをうまく活用することが将来の環境を守り、子供たちにきれいな水を残すことにつながりそうだ。

関連記事

トピックス

初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
「ウチも性格上ぱぁ~っと言いたいタイプ」俳優・新井浩文が激ヤセ乗り越えて“1日限定”の舞台復帰を選んだ背景
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン