ライフ

全国大会総なめの“究極の花火” 製作不可能といわれていた

作るのは不可能といわれてきた五重芯の花火

 夜空に開けば、均等な同心円が広がり、6重の大輪が開く。この道40年以上の花火師・野村陽一さん(野村花火工業)が初めて世に送り出し、全国大会を総なめにした“究極の花火”こそ、10号玉の「五重芯」だ。

 直径約30cmの10号玉の中に、6重の層ができているこの花火は、作るのは不可能といわれてきた。写真のようにいかにきれいな円を描くかが職人技の見せ所だという。とはいえ、花火の魅力は夜空の大輪だけでない。もう一つの目玉は、スターマイン。音楽に合わせて連続で打ち上げる、大がかりな仕掛け花火のことだ。

 野村さんいわく、「花火師は映画監督で、役者は花火」。競技会では制限時間2分半の中に、映画2時間に匹敵するストーリーを盛り込むという。審査でも、花火の美しさだけでなく、音楽とのバランスや、構成力を問われる。

 よって、スターマインの仕込みには、アイデアの練り込みも合わせれば1年以上かかってしまう。野村さんはかつて、デュエット曲を選び、男声と女声に合わせて花火の色を変える演出をしたことがあるという。

「花火に限らず、アイデアを形にするのは難しいことです。花火職人は今や、感性を併せもった演出力が要求されている時代なのです」(野村さん)

 1年かけて準備した花火はしかし、一瞬で終わる。一瞬だからこそ人々の脳裏に焼き付けたい──花火師たちの思いは、今夏も、あちこちの夜空で大輪の花を咲かせている。

写真■野村花火工業

※週刊ポスト2013年8月9日号

関連キーワード

トピックス

雅子さまが三重県をご訪問(共同通信社)
《お洒落とは》フェラガモ歴30年の雅子さま、三重県ご訪問でお持ちの愛用バッグに込められた“美学” 愛子さまにも受け継がれる「サステナブルの心」
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《噂のパートナーNiki》この1年で変化していた山本由伸との“関係性”「今年は球場で彼女の姿を見なかった」プライバシー警戒を強めるきっかけになった出来事
NEWSポストセブン
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
「とにかく献金しなければと…」「ここに安倍首相が来ているかも」山上徹也被告の母親の証言に見られた“統一教会の色濃い影響”、本人は「時折、眉間にシワを寄せて…」【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
マレーシアのマルチタレント「Namewee(ネームウィー)」(時事通信フォト)
人気ラッパー・ネームウィーが“ナースの女神”殺人事件関与疑惑で当局が拘束、過去には日本人セクシー女優との過激MVも制作《エクスタシー所持で逮捕も》
NEWSポストセブン
デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
部下と“ホテル密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト/目撃者提供)
《前橋・小川市長が出直し選挙での「出馬」を明言》「ベッドは使ってはいないですけど…」「これは許していただきたい」市長が市民対話会で釈明、市議らは辞職を勧告も 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン