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「町内3大美女のひとり」が毎日つまみを作ってくれる角打ち

老若男女、職業に関係なく仲良くなれる空間が魅力

 緑濃い熊本城が静かに見下ろす、ここは熊本のファッションストリートとして市民に親しまれる上通町(かみとおりちょう)。そんなおしゃれ小路の、陽はまだまだ落ちきっていないけれど、すでに時計の針は夕刻6時近く。

「だけん、よかばい(だからいいだろ・熊本弁)と、ひとり悠然と作務衣姿の偉丈夫がやってくる。ふたり連れのサラリーマンがまっすぐ前を見つめて歩いてくる。そして彼らは、「絶対に見逃せないお酒がここにはある。創業明治27年」と大書された入り口の格子戸を開け、『堤酒店+立ち飲みの店ナポレオン』に入っていく。

 中に入ると、中央のカウンター上で、周囲の棚で、そしてガラス戸が涼しげに露を結ぶ冷蔵庫の中で、美男美女が柔らかく微笑むように、あるいは天下に名を轟かす豪傑が睨み据えるように、ラベルのデザイン、ボトルの形、そして味のそれぞれ違うたくさんの酒たちが華やかに迎えてくれる。

 5代目を6年前に継いだ堤竜一さん(34)が、そんな酒たちを眺めながら語る。

「私の記憶にある祖父の時代から、酒の品揃えも立ち飲みも評判がよかったんです。小さな頃からそんな店を継ぐのは当然と思っていましたし、継いでからは、発展させて次の代に伝えたいとの気持ちも湧いてきましたから、酒の勉強はしっかりと続けています。その途中で揃えたものがここに並んでいるんですよ。日本で飲める酒のすべてを飲んでみたい。そうやって覚えた味をお客さんに教えたい。今はそんなことを考えています」

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