ビジネス

【日本株週間見通し】ソロス氏投資動向から米市場に不透明感

 投資情報会社・フィスコ(担当・村瀬智一氏)が、株式市場の8月12日~8月16日の動きを振り返りつつ、8月19日~8月23日の相場見通しを解説する。

 * * *
 先週の日経平均は上昇。お盆休み入りで機関投資家の資金流入が限られるなか、先物主導によるプログラム売買などに大きく振らされる展開となった。

 週初は2013年4-6月期の国内総生産(GDP)速報値が予想を下回ったことをキッカケに、消費税増税の時期などに影響が出てくるとの見方が売りにつながった。この影響から日経平均は一時13430.64円と直近安値水準を割り込み、6月末以来の水準に。

 ただ、翌13日には安倍首相が法人税の実効税率の引き下げを検討するよう関係府省に指示したことが報じられるなか、大幅に反発。14日には先物主導による断続的なプログラム買いが日経平均を押し上げる格好となり、終値ベースでは6営業日ぶりに14000円を回復した。しかし、15日には麻生財務相による「法人実効税率引き下げの効果は少ない」との発言などが物色意欲を後退させている。

 週末には米国市場の大幅な下げが嫌気されるなか、上海指数の急伸を受けて切り返す局面もみられたが、誤発注との見方から再び値を消す展開に。もっとも、売買代金は連日で2兆円を下回る低水準であり、12日に至っては1.5兆円と今年最低を記録している。先物市場では、業者2社が全体の売買シェアの大勢を占めるなか、両社の攻防が先物市場の方向性を決め、これによる現物市場へのプログラム売買が指数インパクトの大きい値がさ株に大きな影響を与え、結果、日経平均の変動につながったようである。

 今週はお盆休み明けとなり、幾分出来高が膨れるため、トレンドが出やすい相場展開が期待されよう。ただし、米国では21日に連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(7月30-31日分)が公表される。アトランタ連銀総裁による「年内どのFOMCでも緩和縮小あり得る」と述べ、これがNYダウの下落につながるなど、緩和縮小時期に神経質となるなか、議事録の内容が相場の変動要因となる。また、同日に7月の米中古住宅販売、23日に7月の米新築住宅販売件数が発表される。

 そのほか、著名投資家のジョージ・ソロス氏が保有する資産ポートフォリオでは、米アップルの保有が明らかになる一方、S&P500種株価指数に連動する上場投資信託(ETF)のプット・オプションを大量に購入したことが判明し、話題となっていた。量的緩和縮小の行方に米国株式市場の先行き不透明感が強まる一因だ。また、国内についても、消費税増税の時期や法人税率引き下げに伴う要人発言等で振れやすい相場環境にあり、上値追いには慎重になりそうだ。

 とはいえ、先高期待が後退している地合いではなく、押し目買い意欲は強いであろう。外国人投資家が3週連続で売り越しとなったが、アクティブなファンドによる利益確定の流れであろう。今後は長期的なスタンスでの海外年金などの資金流入が意識されよう。

 物色の流れとしては指数インパクトの大きい値がさ株を睨みつつ、ソロス氏のアップル保有ではないが、相対的に出遅れているセクターや銘柄への物色に向かわせやすい。22日には中国で8月のHSBC製造業PMI速報値が発表される。足元で中国経済の底入れが意識されるなか、商社、機械、鉄鋼、海運など中国関連を見直す動きが見られており、関心が高いだろう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)が“イギリス9都市をめぐる過激バスツアー”開催「どの都市が私を一番満たしてくれる?」
NEWSポストセブン
川崎春花
【トリプルボギー不倫の余波】日本女子プロ2022年覇者の川崎春花が予選落ち 不倫騒動後は調子が上向かず、今季はトップ10入り1試合のみ「マイナスばかりの関係だった」の評価も
NEWSポストセブン
ドバイのアパートにて違法薬物所持の疑いで逮捕されたイギリス出身のミア・オブライエン容疑者(23)(寄付サイト『GoFundMe』より)
「性器に電気を流された」「監房に7人、レイプは日常茶飯事」ドバイ“地獄の刑務所”に収監されたイギリス人女性容疑者(23)の過酷な環境《アラビア語の裁判で終身刑》
NEWSポストセブン
「中野駅前大盆踊り大会」前夜祭でのイベント「ピンク盆踊り」がSNSを通じて拡散され問題に
《中野区長が「ピンク盆踊り」に抗議》「マジックミラー号」の前で記念撮影する…“過激”イベントの一部始終
NEWSポストセブン
Aさんの乳首や指を切断したなどとして逮捕、起訴された
「痛がるのを見るのが好き」恋人の指を切断した被告女性(23)の猟奇的素顔…検察が明かしたスマホ禁止、通帳没収の“心理的支配”
NEWSポストセブン
『東宝シンデレラ』オーディション出身者の魅力を山田美保子さんが語ります
《第1回グランプリは沢口靖子》浜辺美波、上白石姉妹、長澤まさみ…輝き続ける『東宝シンデレラ』オーディション出身者たちは「強さも兼ね備えている」
女性セブン
9月6日から8日の3日間、新潟県に滞在された愛子さま(写真は9月11日、秋篠宮妃紀子さまにお祝いのあいさつをするため、秋篠宮邸のある赤坂御用地に入られる様子・時事通信フォト)
《ますます雅子さまに似て…》愛子さま「あえて眉山を作らずハの字に落ちる眉」「頬の高い位置にピンクのチーク」専門家が単独公務でのメイクを絶賛 気品漂う“大人の横顔”
NEWSポストセブン
川崎市に住む岡崎彩咲陽さん(当時20)の遺体が、元交際相手の白井秀征被告(28)の自宅から見つかってからおよそ4か月
「骨盤とか、遺骨がまだ全部見つかっていないの」岡崎彩咲陽さんの親族が語った “冷めることのない怒り”「(警察は)遺族の質問に一切答えなかった」【川崎ストーカー殺人】
NEWSポストセブン
シーズンオフをゆったりと過ごすはずの別荘は訴訟騒動となっている(時事通信フォト)
《真美子さんとの屋外プール時間も》大谷翔平のハワイ別荘騒動で…失われ続ける愛妻との「思い出の場所」
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
【七代目山口組へのカウントダウン】司忍組長、竹内照明若頭が夏休み返上…頻発する「臨時人事異動」 関係者が気を揉む「弘道会独占体制」への懸念
NEWSポストセブン
海外から違法サプリメントを持ち込んだ疑いにかけられている新浪剛史氏(時事通信フォト)
《新浪剛史氏は潔白を主張》 “違法サプリ”送った「知人女性」の素性「国民的女優も通うマッサージ店を経営」「水素水コラムを40回近く連載」 警察は捜査を継続中
NEWSポストセブン