芸能

『半沢直樹』関東より関西の視聴率高い理由を県民性研究家分析

 堺雅人主演で大ヒット中のドラマ『半沢直樹』(TBS系)。堺演じる銀行マンが、組織内外の人間と真っ向勝負をしていくストーリーが話題を呼んでいる。このドラマの視聴率に関して面白いデータがある。関東と関西を比べると、関西のほうが高い傾向にあるのだ。すでに放送した8話中5話で関西の視聴率が上回っている。6話以降は3週連続30%を超えた。いったいなぜ関西で高い支持を集めるのか? 県民性研究の第一人者でナンバーワン戦略研究所所長・矢野新一さんに聞いた。

 * * *
『半沢直樹』には関西、とりわけ大阪で受ける要素がたくさんあります。

 大阪は“民”の町です。彼らにとって大阪は、お偉いさんやお役所の人たちの町ではなく、自分たちの町であるという意識がとても強い。だから、組織においては、わが物顔で振る舞う“上から目線”の人が嫌いだし、それに従うイエスマンも大嫌いなんですよ。
 
 半沢はイエスマンではなくて、必死になって理不尽な上司とかに抵抗しているでしょ。そういう部分が、大阪の人が“いいぞ!”と共感するところなのではないでしょうか。半沢が、銀行の偉い人や、エリート連中を次々と蹴落としていく展開に、大阪の人は東京の人以上に痛快に感じていると思います。

 勧善懲悪的なわかりやすいストーリーというのも、大阪の人に受けるポイントでしょう。大阪のお笑いを例にとっても、吉本新喜劇に代表されるように、同じことを毎回繰り返す、ある意味マンネリ的な展開が好まれます。ドラマも同様です。半沢が一度やられても、悪い奴らをやっつけて最後には倍返しする。このお決まりの展開は、彼らにとってなじみやすく、ある意味では、期待通りのストーリーなのでしょう。

 あとは、やっぱりお金に関する話がテーマになっていることも大きいと思います。大阪は古くから商人の町で、現在までその気質は引き継がれています。ドラマで描かれるように貸したお金を返してもらうというのは、大阪商人にとっては当然の考えであり、お金を返さない人というのは悪そのもの。だからこそ、お金の回収をさまざまな手法を使いながら実行していく半沢を応援するのは当然です。

 もうひとつは、このドラマの前半(5話まで)が、大阪が舞台だったということも関西地区の人気を後押ししたといえます。今は東京編が放送されていますが、劇中に登場するリゾートホテルは伊勢島ですよね。これは原作と同様ですが、関西圏を意識した名前になっています。

 NHKの朝ドラは基本的に東京制作と大阪制作が交互になっていますが、大阪制作のときは関西が舞台の話になっています。これは大阪を意識したものを作らないと大阪の視聴者が離れてしまうからです。『半沢直樹』もまず関西編を放送し関西の視聴者をとりこんだことが、東京編になっても関西地区の視聴率が下がってない一因ではないでしょうか。

【関東・関西 1話~8話の視聴率推移】
●関東地区/19.4%→21.8%→22.9%→27.6%→29.0%→29.0%→30.0%→32.9%
●関西地区/20.6%→19.9%→25.6%→27.5%→29.5%→32.8%→31.2%→32.7%

関連キーワード

関連記事

トピックス

靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン