国内

30~40代の年金給付額 現在と比較し2~3割減るとの予測も

 今年10月に1%、2014年4月に1%、そして2015年4月に0.5%と3段階での引き下げが決定している年金。

 厚生労働省の試算によれば、国民年金に加入する自営業者は、この10月から月に666円減額となる。一方、厚生年金を受給する標準世帯(標準報酬月額[保険料や年金の算定に使われる数字]が36万円で、夫が40年間厚生年金に加入、妻が専業主婦というモデル家庭)では、月2349円もの減額になるとシミュレーションされている。

 月額でみるとちょっとした減額にも思えるが、これが年額で計算すると大きな額に。

「トータル2.5%減になると、国民年金だけの加入者で年に2万100円、厚生年金の場合で年に7万800円のダウンになります」

 と話すのは“年金博士”こと社会保険労務士の北村庄吾さん。

 そもそも、年金生活者の家計は多くが毎月赤字だ。2012年の総務省家計調査報告によれば、高齢者夫婦世帯では、支出が約27万円に対し、収入は21万8000円。毎月約5万円の不足と、まったく余裕がない様子が見えてくる。

 ファイナンシャルプランナーの花輪陽子さんが言う。

「貯金を切り崩して生活している家庭にとって、年金減額で貯金が減るペースも早まるでしょう。精神的な不安感は高まってくると思います」

 こうした状況は、現役世代にとっても他人事ではない。前出・花輪さんは次のように予測する。

「少子高齢化が進むなか、今後若い世代の年金は実質的な目減りになるので、かなり大変です。今の30~40代がもらうころには、現行より2~3割受給額が減るのではないかといわれています」

 そもそも、今回の減額が意味しているところは、年金財政が相当にピンチということ。

「これまで年金制度は若い世代に不利益を押しつけていたわけですが、初めて今の受給者に不利益な条件を提示した。年金制度は維持できるかもしれませんが、受給者の生活は年金だけでは維持できなくなる」(北村さん)

 そして、今後は支給開始の年齢も引き上げられると予測される。

「アメリカ、イギリス、ドイツなど欧米諸国では、67、68才からの支給を決めているので、それにならって引き上げる動きも出てくるでしょう」(花輪さん)

※女性セブン2013年10月3日号

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