国内

前園氏から暴行被害のタクシー会社 大人力示したと識者絶賛

 元サッカー選手の前園真聖氏が酔っ払ってタクシーの運転手に暴行を働いた。誰もが非難する嵐の中で、前園氏に暖かい救いの手をさしのべたのは、被害に遭ったタクシー会社だった。「タクシー会社のコメントは大人力の宝石箱や!」と、大人力コラムニストの石原壮一郎氏が絶賛する。

 * * *
 お酒を飲む人にとっては、けっして人ごとではありません。元サッカー日本代表MFの前園真聖氏が、10月13日に朝、酒に酔ってタクシー運転手に暴行を加えたとして逮捕されました。今回の事件で「ほほう」と唸らされたのが、被害を受けた運転手が所属するタクシー会社の責任者のコメント。タクシー会社側にとってはとんだ災難ですから、憤りをあらわにしたり、前園氏を激しく責めたりする選択肢もあったわけですが、一貫して穏やかな雰囲気の文面で、大人力にあふれた対応をしています。

 まず最初に「本日、前園さんの代理人と所属事務所代表の方がお見えになり謝罪のお言葉をいただきました」と、きちんと素早い謝罪があったことを公表。さらに、前園氏本人からも謝罪したいという連絡がすぐにあったことも書いています。これは、前園氏が今回の事件で受けたダメージを回復する上で、ひじょうにやさしいアシストに他なりません。

 コメントの中で、とくに大人力にあふれているのは、以下のくだりです。

「前園さんは今の日本のサッカー界を作られた方です。また現在は指導者として、たくさんの子供たちにも夢を与えるお立場にある方ですので、今回の事を教訓に、今後はお酒とは上手なお付き合いをされて、ますますご活躍されることを願っています」

 自分の会社の社員が暴行を受け、世間的には「大悪党」の扱いを受けている加害者に対して、その功績を持ち上げ、現在の役割を評価し、あたたかいアドバイスや期待の言葉が述べられています。ひと言ひと言が美しい大人力に彩られていて、感動に打ち震えずにはいられません。会社名は現時点ではわかりませんが、いずれ明らかになり、そんなつもりじゃないでしょうけど、結果的に会社のイメージアップにつながることでしょう。

 私たちも、この大人なコメントに大いに学びたいところ。酔っ払った同僚に暴言を吐かれたりビールをぶっかけられたりした場合、翌日に「ったく、とんでもないヤツだよ」と怒りをあらわにするのは、言ってみればもったいない反応です。慰めに来てくれた同僚に「○○は本当はとてもいいヤツで仕事もできるし、この会社にはなくてはならない存在だと思うんだ。それだけに、お酒と上手に付き合って、もっともっと活躍してもらいたいよね」てなことを言えば、あなたの株は一気に上がること請け合い。あるいは、本人にそういうふうに言ってあげたら、以後、あなたに対して頭が上がらなくなるでしょう。

 自分を手ひどく振った女性や、向こうのミスで迷惑をかけられた得意先にも、同じ手法が使えます。意識してあえて寛大な態度を取ることは、自分の評価のアップにつながるだけでなく、怒りを抑える効能もあるはず。逆に、非難していい場面やちょっと強気に威張っていい場面で素直にそういう態度を取ると、人間の小ささを示してしまうことになります。目先の誘惑に負けず、大人の貪欲さでより大きな成果を目指しましょう。

関連キーワード

トピックス

愛子さま(写真/共同通信社)
《中国とASEAN諸国との関係に楔を打つ第一歩》愛子さま、初の海外公務「ラオス訪問」に秘められていた外交戦略
週刊ポスト
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン