ライフ

児童ポルノ禁止法改正で宮沢りえ『サンタフェ』所持も犯罪か

 安倍政権が臨時国会で成立を目指している「特定秘密保護法案」。これが成立すれば、日本は言論統制社会となってしまう。それと同時に法案成立を目論んでいるのが「児童ポルノ禁止法改正案」だ。その危険性をジャーナリストの武冨薫氏が指摘する。

 * * *
「特定秘密保護法案」とならんで、言論統制の両輪のもうひとつが自民党が通常国会に提出し、継続審議となっている児童ポルノ禁止法改正案だ。従来の法律では、児童ポルノの作成と配布を処罰するものだったが、改正案は「単純所持」が禁止され、しかも、漫画やアニメと性犯罪などとの関連性を「調査研究」して施行から3年後に「必要な措置」をとる条項が盛り込まれている。

 日弁連子どもの権利委員会副委員長の川村百合弁護士が語る。

「現行法の児童ポルノの定義のまま単純所持を処罰することになると、自分の子供が裸で日光浴している可愛らしい写真を携帯電話に保存しているだけでも、見る人によっては『性欲を興奮させ又は刺激するもの』とされて、逮捕される危険がある。

 また、宮沢りえさんの17歳のときの写真集『サンタフェ』も児童ポルノに当たり、昔買ったものを家に持っているだけで犯罪が成立するだろう。児童ポルノは人権を侵害するものなので規制は必要だが、単純所持まで犯罪とすると、児童ポルノ規制を口実に捜査権が乱用されることになりかねない」

 ここでも児童ポルノ規制という国民が賛同しやすい名目の裏に権力者の企みが隠されている。考えればすぐわかることだが、被害者たる児童がいないマンガやアニメまで処罰しようというのは、権力者による言論統制、思想統制以外の何物でもない。ここまでくると、右派も左派もない目茶苦茶な権力暴走だ。

※SAPIO2013年11月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

復帰会見をおこなった美川憲一
《車イス姿でリハビリに励み…》歌手・美川憲一、直近で個人事務所の役員に招き入れていた「2人の男性」復帰会見で“終活”にも言及して
NEWSポストセブン
遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
公設秘書給与ピンハネ疑惑の維新・遠藤敬首相補佐官に“新たな疑惑” 秘書の実家の飲食店で「政治資金会食」、高額な上納寄附の“ご褒美”か
週刊ポスト
高市早苗首相(時事通信フォト)
高市早苗首相の「官僚不信」と霞が関の警戒 総務大臣時代の次官更迭での「キツネ憑きのようで怖かった」の逸話から囁かれる懸念
週刊ポスト
男気を発揮している松岡昌宏
《国分騒動に新展開》日テレが急転、怒りの松岡昌宏に謝罪 反感や逆風を避けるための対応か、臨床心理士が注目した“情報の発信者”
NEWSポストセブン
水原受刑者のドラマ化が決定した
《水原一平ドラマ化》決定した“ワイスピ監督”はインスタに「大谷応援投稿の過去」…大谷翔平サイドが恐れる「実名での映像化」と「日本配信の可能性」
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(Instagramより)
「球場では見かけなかった…」山本由伸と“熱愛説”のモデル・Niki、バースデーの席にうつりこんだ“別のスポーツ”の存在【インスタでは圧巻の美脚を披露】
NEWSポストセブン
モンゴル訪問時の写真をご覧になる天皇皇后両陛下(写真/宮内庁提供 ) 
【祝・62才】皇后・雅子さま、幸せあふれる誕生日 ご家族と愛犬が揃った記念写真ほか、気品に満ちたお姿で振り返るバースデー 
女性セブン
村上迦楼羅容疑者(27)のルーツは地元の不良グループだった(読者提供/本人SNS)
《型落ちレクサスと中古ブランドを自慢》トクリュウ指示役・村上迦楼羅(かるら)容疑者の悪事のルーツは「改造バイクに万引き、未成年飲酒…十数人の不良グループ」
NEWSポストセブン
現在は三児の母となり、昨年、8年ぶりに芸能活動に本格復帰した加藤あい
《現在は3児の母》加藤あいが振り返る「めまぐるしかった」CM女王時代 海外生活を経験して気付いた日本の魅力「子育てしやすい良い国です」ようやく手に入れた“心の余裕”
週刊ポスト
熊本県警本部(写真左:時事通信)と林信彦容疑者(53)が勤めていた幼稚園(写真右)
《親族が悲嘆「もう耐えられないんです」》女児へのわいせつ行為で逮捕のベテラン保育士・林信彦容疑者(53)は“2児の父”だった
NEWSポストセブン
リクルート社内の“不正”を告発した社員は解雇後、SNS上で誹謗中傷がやまない状況に
リクルートの“サクラ行為”内部告発者がSNSで誹謗中傷の被害 嫌がらせ投稿の発信源を情報開示した結果は“リクルートが契約する電話番号” 同社の責任が問われる可能性を弁護士が解説
週刊ポスト
上原多香子の近影が友人らのSNSで投稿されていた(写真は本人のSNSより)
《茶髪で缶ビールを片手に》42歳となった上原多香子、沖縄移住から3年“活動休止状態”の現在「事務所のHPから個人のプロフィールは消えて…」
NEWSポストセブン