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味噌汁は塩分過多にはつながらない 30種類の味噌揃える店も

味噌専門店・坂本商店では人気の味噌を「どれでも100円」で試せる

 高血圧や生活習慣病などで、気にかかる塩分。これから気温が下がるにつれ、温かい味噌汁が美味しい季節だが「塩分を控えたい」という気持ちから、味噌汁を飲むのを我慢してしまう人もいるのではないだろうか。

 10月26日に行なわれた日本高血圧学会で、そんな思い込みを覆す発表がされた。共立女子大学教授・医学博士の上原誉志夫先生が「味噌汁は食塩摂取量の独立した決定要因ではないと明らかになりました」と報告。具体的には、以下の3つのポイントが挙げられるという。

【1】味噌汁を飲んでも血圧には影響がみられなかった
 味噌汁の摂取頻度別で、低頻度群:5日間当たり0~2回、中頻度群:5日間当たり3~5回、高頻度群:5日間当たり6~15回の人を比較した際に、血圧への影響は確認されなかった。

【2】減塩のために味噌汁を減らすことにあまり意味はない
 味噌汁の食塩摂取量への寄与率は約2%で、味噌汁は食塩摂取量の独立した決定要因ではなかった。

【3】1日1杯の味噌汁のある食生活が血管年齢を改善する可能性がある
 1日1杯程度の味噌汁のある食生活が、血管年齢の指標CAVI値(動脈の硬さを表す値)を低下させ、血管年齢を10歳程度改善する傾向が確認された。

 味噌の歴史や栄養について詳しい「みそ健康づくり委員会」のサイトで、その効能について見てみると、最新の研究成果による発見以外にも、多くのビタミンやミネラルを含む調味料であることがわかる。前出の研究発表を行なった、上原先生に味噌の栄養などについて、話を聞いた。

「味噌の材料は、良質の植物性タンパク質を多く含む大豆。発酵によって多くの栄養成分が作られ、その約30%がアミノ酸であるだけでなく、必須アミノ酸8種類を全て含む珍しい食材のひとつです。がんの抑制や血圧の低下、抗動脈硬化、骨を丈夫にする助けになるなど、さまざまな機能に影響を与える栄養があるんです」(上原先生)

“栄養は嬉しいけど、塩分は……”と思う人の中には、過剰に味噌汁の塩分が多いと勘違いしているケースも多い。「みそ健康づくり委員会」が行なった調査で、「味噌汁1杯あたりに塩分量は何g含まれていると思うか?」という質問に正解したのは、17.1%。実は味噌汁1杯の塩分量は約1gなのだが、33.4%が「2g」、30.1%が「3g」、8.8%が「4g」、実際の量の5倍になる「5g」と回答した人も10.7%いた。

「摂取塩分量は実質的に少なく、それを相殺して、かつ身体に良い栄養が摂りやすいのが味噌汁です。全国的に味噌汁の具として使われているワカメなどの海藻類は、アルギン酸が摂取塩分を相殺して、血圧を下げる効果があります。またヨード(ヨウ素)には、代謝を高める機能も。良い出汁が出て美味しい貝類は、亜鉛やセレンといった微量元素が摂取でき、栄養面のほかに味覚の改善にも効果がある具材ですね。春や夏のアサリ・しじみに加え、今の季節は牡蠣もお薦めです。

 また季節食材では、免疫力を上げて感染症を防ぐ栄養を含む、きのこ類。野菜を多く摂ることで抵抗力が高まりますから、野菜をいっぱい食べられる具だくさんの豚汁も、不足しがちな栄養を豊富に摂れる点で、特に良いでしょう。

 味噌汁を健康に役立てる食べ方としては、毎日同じ具ではなく、海藻や貝類・野菜といった具材を日替わりで入れて、多くの栄養を手軽にバランス良く摂れるようにするのが、賢い活用法です」(上原先生)

 近年は日本食が世界のブームになり、「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録される見通しがニュースにもなっている。健康的な食文化としての「和食」には、さまざまな工夫がある。その基本形のひとつが「一汁三菜」で、バランスの良い食事を構成する“先人の知恵”があり、その一翼を担うと言っても過言ではないのが「一汁=味噌汁」なのだ。

 また味噌汁は「おふくろの味」のひとつであるだけでなく、味噌という調味料が地域ごとの食文化を支えているケースも多い。最近は多様なご当地グルメや食文化の再発見から、味噌専門店が改めて見直されつつあり、いわゆるデパ地下などでも取扱商品が増えている。そこで、都心のオフィス街・五反田駅の近くに長年店を構える味噌専門店、坂本商店 五反田本店(東京都品川区東五反田1-14-9 9:00~18:00営業 日・祝定休)を取材した。

 店内には味噌樽がずらりと並び、常時30種類程の全国各地の味噌が売られている。客層は主婦のほか、五反田という場所柄から仕事帰りやお昼休みに立ち寄るサラリーマンも多いという。「今の季節は常温でも2・3日、夏場も1日くらいは大丈夫なんで、お昼休みに買って行く人も結構いますよ」と教えてくれたのは、坂本章社長。

 店の入り口には、人気上位や店の“オススメ”の味噌が小さなパックで15種類並び、「どれでも100円」というのが嬉しい。八丁味噌や西京味噌、田舎味噌など、見ていると思わず全部試したくなるが、味噌汁の具や料理別で、お薦めの味噌はあるのだろうか。

「味噌の味を直接楽しむ料理だったら、焼きおにぎりには甘めの九州麦味噌。生や茹で・焼き野菜につけて食べるなら、信州の麹味噌などが人気です。

 貝には赤出汁がいいって言う人が多いけど、味噌汁は人それぞれの好み。うちは2~3種類を合わせて500g――といった買い方を薦めていて、『今日は赤味噌』『今日は白』『今日は境目の混ざっているところ』って感じで、いろいろ組合せを楽しんで使ってもらうのが、良いんじゃないですかね。好みを聞きながら、あれこれ相談して買われる人も多いですよ」(坂本社長)

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