国際情報

イラク・シリア・日本の子の命を守るバレンタインチョコ募金

 長野県の諏訪中央病院名誉院長でベストセラー『がんばらない』ほか著書を多数持つ鎌田實氏は、NPO法人「日本イラク医療支援ネットワーク(JIM-NET)の代表として、イラクやシリア、東日本大震災の被災地への支援を続けている。今年で9回目となる「バレンタインのチョコ募金」を通じて、日本とイラク、シリアと遠く離れた人々の絆がぐるぐる回る様子を鎌田氏が紹介する。

 * * *
 2006年から始めた『バレンタインのチョコ募金』は、今年も12月2日からスタートする。おかげさまで、今年で9回目。チョコレートの数は全部で16万個。

 北海道の六花亭で作ってもらった特注品で、僕がイラクの子どもたちのために、ぜひ原価でと直談判したものだ。1缶に3種類のハート形のチョコレートが10個入る。

 実は、その缶を作っているのは埼玉県草加市にある小さな製缶工場。社長からは「3か月分の仕事になる」と喜ばれる。発送してくれるのは、神奈川県にあるハナミズキという障がい者の団体にお願いしている。いろいろな人を助けたり、助けられたり──。ここでもぐるぐる絆を回したい。

 今年のチョコレートは“命”をテーマにした。毎年、缶やカードにはイラクの白血病の子に絵を描いてもらっているが、今年は8歳のイマーンちゃんもカード担当。彼女は急性リンパ性白血病を患い、化学治療をしたが再発。現在も治療中だ。

 僕らがイラクを訪れたとき、おみやげに福島の民芸玩具・赤べこを持っていった。それにイマーンちゃんは興味を示した。頭を突くと首が動くのがおもしろいらしい。

 福島の赤べこには由来がある。昔、お寺を作るときに大量の材木を運んだのが牛だった。疲れて倒れる牛が続出する中、最後まで運び続けたのが赤い色の牛だったそうだ。だから福島の人は赤ちゃんが生まれると無病息災の想いを込めて赤べこをプレゼントする。

 その赤べこの絵をイマーンちゃんが描いた。その横には、アラビア語で書かれた“命”の字。「赤ちゃんの命」「友達の命」「家族の命」「病気の子どもたちの命」この4つの命を僕たちは助けたい。

 今もシリアからは難民が脱出し続けている。その多くは子どもと女性。特に妊婦さんは安全を期して国外に逃げ、キャンプでは毎日平均して100人強もの子どもが産まれている。

 子どもたちを助けるために、ぜひチョコで応援してください。

 2000円の代金で4缶のチョコレートが届く。可愛い缶に入っていて、子どもたちの命を守るという哲学のあるチョコだ。全部売れると、売り上げは8000万円。純益は5000万円。そのすべてが子どもたちの命を救うために使われます。

◆チョコの申し込みは、インターネットは「JIM-NET」で検索。

※週刊ポスト2013年12月20・27日号

関連記事

トピックス

優勝パレードには真美子さんも参加(時事通信フォト/共同通信社)
《頬を寄せ合い密着ツーショット》大谷翔平と真美子さんの“公開イチャイチャ”に「癒やされるわ~」ときめくファン、スキンシップで「意味がわからない」と驚かせた過去も
NEWSポストセブン
デート動画が話題になったドジャース・山本由伸とモデルの丹波仁希(TikTokより)
《熱愛説のモデル・Nikiは「日本に全然帰ってこない…」》山本由伸が購入していた“31億円の広すぎる豪邸”、「私はニッキー!」インスタでは「海外での水着姿」を度々披露
NEWSポストセブン
生きた状態の男性にガソリンをかけて火をつけ殺害したアンソニー・ボイド(写真/支援者提供)
《生きている男性に火をつけ殺害》“人道的な”窒素吸入マスクで死刑執行も「激しく喘ぐような呼吸が15分続き…」、アメリカでは「現代のリンチ」と批判の声【米アラバマ州】
NEWSポストセブン
“アンチ”岩田さんが語る「大谷選手の最大の魅力」とは(Xより)
《“大谷翔平アンチ”が振り返る今シーズン》「日本人投手には贔屓しろよ!と…」“HR数×1kmマラソン”岩田ゆうたさん、合計2113km走覇で決断した「とんでもない新ルール」
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の学生時代
《被害者夫と容疑者の同級生を取材》「色恋なんてする雰囲気じゃ…」“名古屋・26年前の主婦殺人事件”の既婚者子持ち・安福久美子容疑者の不可解な動機とは
NEWSポストセブン
ソウル五輪・シンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング=AS)銅メダリストの小谷実可子
《顔出し解禁の愛娘は人気ドラマ出演女優》59歳の小谷実可子が見せた白水着の筋肉美、「生涯現役」の元メダリストが描く親子の夢
NEWSポストセブン
ドラマ『金田一少年の事件簿』などで活躍した古尾谷雅人さん(享年45)
「なんでアイドルと共演しなきゃいけないんだ」『金田一少年の事件簿』で存在感の俳優・古尾谷雅人さん、役者の長男が明かした亡き父の素顔「酔うと荒れるように…」
NEWSポストセブン
マイキー・マディソン(26)(時事通信フォト)
「スタイリストはクビにならないの?」米女優マイキー・マディソン(26)の“ほぼ裸ドレス”が物議…背景に“ボディ・ポジティブ”な考え方
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
《かつてのクマとはまったく違う…》「アーバン熊」は肉食に進化した“新世代の熊”、「狩りが苦手で主食は木の実や樹木」な熊を変えた「熊撃ち禁止令」とは
NEWSポストセブン
アルジェリア人のダビア・ベンキレッド被告(TikTokより)
「少女の顔を無理やり股に引き寄せて…」「遺体は旅行用トランクで運び出した」12歳少女を殺害したアルジェリア人女性(27)が終身刑、3年間の事件に涙の決着【仏・女性犯罪者で初の判決】
NEWSポストセブン
ガールズメッセ2025」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
佳子さまの「清楚すぎる水玉ワンピース」から見える“紀子さまとの絆”  ロングワンピースもVネックの半袖タイプもドット柄で「よく似合う」の声続々
週刊ポスト
永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン