国際情報

ウイグル族の携帯監視、24時間所在確認 テロに怯える北京

「わが国は未曾有の危機に見舞われている。内にはウイグル族のテロリストあり、外にはアメリカを中心とする社会主義体制転覆を図る敵対勢力だ。彼らは新疆やチベットの分離・独立主義者を裏で操っているのだ」

 習近平・国家主席が10月29日の中国共産党政治局会議で語った言葉だ。前日の28日、北京中心部の天安門広場前で、新疆ウイグル自治区在住の3人が乗っていたとされるSUV車の自爆テロが起きたことを強く意識したものだ。ジャーナリストの相馬勝氏がリポートする。

 * * *
 香港紙「明報」は29日の政治局会議について、「新疆ウイグル自治区トップの張春賢・政治局員に非難が集中した」と報じている。
 
 張氏は事件1週間前に開かれた同自治区の幹部会議で、「少数民族問題を解決するには、まず経済の持続的な成長が必要であり、これが自治区すべての問題解決のカギとなる。また、教育の意義を深く理解させるとともに、少数民族の就業率を向上させ、民生を改善させることが重要だ」などと述べて、従来の抑圧政策よりも少数民族を含む民生安定こそ必要だと強調した。

 それから1週間も経たないうちに、あろうことか共産党政権のシンボルである天安門の前でテロが発生し、死傷者45人を出す惨事となった。当日は事件現場から200mも離れていない人民大会堂で、習氏ら政治局常務委員7人が出席して第11回中国女性全国代表大会が開かれており、まかり間違えば党幹部が犠牲になる可能性もあった。

 それだけに、政治局会議では「あなたの政策は矛盾を拡大させるだけで根本的な問題解決にはほど遠い。力には力で当たるべきだ」などの意見が続出し、張氏の少数民族政策が槍玉にあがった。張氏の辞任を求める声も出た。

 それを遮るように発言したのが冒頭の習近平である。北京の共産党筋によると、習近平は「張同志1人に責任があるわけではない。中央指導部も少数民族対策を見直す時がきたのかもしれない」と指摘。そしてこう続けたという。

「まず自爆テロに関わった『テロリスト集団』を速やかに全員逮捕し、組織を壊滅に追い込む。『目には目を、歯には歯を』だ。自治区では当面、軍による厳戒態勢を継続。同時に、自治区の経済発展を成し遂げ、少数民族の生活を安定させるなど民生を向上させる。そのために中央指導部が経済支援を行なう。これはチベット自治区も同じだ」

関連キーワード

トピックス

不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《スクショがない…》田中圭と永野芽郁、不倫の“決定的証拠”となるはずのLINE画像が公開されない理由
NEWSポストセブン
多忙の中、子育てに向き合っている城島
《幸せ姿》TOKIO城島茂(54)が街中で見せたリーダーでも社長でもない“パパとしての顔”と、自宅で「嫁」「姑」と立ち向かう“困難”
NEWSポストセブン
小室圭さんの“イクメン化”を後押しする職場環境とは…?
《眞子さんのゆったりすぎるコートにマタニティ説浮上》小室圭さんの“イクメン”化待ったなし 勤務先の育休制度は「アメリカでは破格の待遇」
NEWSポストセブン
女性アイドルグループ・道玄坂69
女性アイドルグループ「道玄坂69」がメンバーの性被害を告発 “薬物のようなものを使用”加害者とされる有名ナンパ師が反論
NEWSポストセブン
遺体には電気ショックによる骨折、擦り傷などもみられた(Instagramより現在は削除済み)
《ロシア勾留中に死亡》「脳や眼球が摘出されていた」「電気ショックの火傷も…」行方不明のウクライナ女性記者(27)、返還された遺体に“激しい拷問の痕”
NEWSポストセブン
当時のスイカ頭とテンテン(c)「幽幻道士&来来!キョンシーズ コンプリートBDーBOX」発売:アット エンタテインメント
《“テンテン”のイメージが強すぎて…》キョンシー映画『幽幻道士』で一世風靡した天才子役の苦悩、女優復帰に立ちはだかった“かつての自分”と決別した理由「テンテン改名に未練はありません」
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
《ヤクザの“ドン”の葬儀》六代目山口組・司忍組長や「分裂抗争キーマン」ら大物ヤクザが稲川会・清田総裁の弔問に…「暴対法下の組葬のリアル」
NEWSポストセブン
1970~1990年代にかけてワイドショーで活躍した東海林さんは、御年90歳
《主人じゃなかったら“リポーターの東海林のり子”はいなかった》7年前に看取った夫「定年後に患ったアルコール依存症の闘病生活」子どものお弁当作りや家事を支えてくれて
NEWSポストセブン
テンテン(c)「幽幻道士&来来!キョンシーズ コンプリートBDーBOX」発売:アット エンタテインメント
《キョンシーブーム『幽幻道士』美少女子役テンテンの現在》7歳で挑んだ「チビクロとのキスシーン」の本音、キョンシーの“棺”が寝床だった過酷撮影
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚することがわかった
女優・趣里の結婚相手は“結婚詐欺疑惑”BE:FIRST三山凌輝、父の水谷豊が娘に求める「恋愛のかたち」
NEWSポストセブン
タレントで医師の西川史子。SNSは1年3ヶ月間更新されていない(写真は2009年)
《脳出血で活動休止中・西川史子の現在》昨年末に「1億円マンション売却」、勤務先クリニックは休職、SNS投稿はストップ…復帰を目指して万全の体制でリハビリ
NEWSポストセブン
太田基裕に恋人が発覚(左:SNSより)
人気2.5次元俳優・太田基裕(38)が元国民的アイドルと“真剣同棲愛”「2人は絶妙な距離を空けて歩いていました」《プロアイドルならではの隠密デート》
NEWSポストセブン