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梅ちゃん先生脚本家・尾崎将也氏 物語の骨組みは方眼紙から

『梅ちゃん先生』の脚本家・尾崎将也氏

 話題の台詞を次々と生み落とすテレビドラマの脚本家は、いかにしてその作品を作り上げているのか。NHK連続テレビ小説『梅ちゃん先生』の脚本を手がけた尾崎将也氏(53)の仕事場を訪ねた。

 尾崎氏の執筆場所は、自宅や近所の数件のカフェ、六本木ヒルズにある有料図書室などを転々。

「場が変わると気分が変わり、仕事が進みそうな気がするんですね。この“進みそう”が重要で、脳がどう情報処理しているかはわかりませんが、その時々の気分に従うことで、少しでもストレスの少ない状態で執筆できるようコントロールしています」

 書き方も独特だ。まずB4の方眼紙に、縦軸が朝ドラなら15分、1時間ものなら正味45分見当で1話分の大まかな流れを箇条書きで書き、原稿の執筆と並行して、その設計図を何度も書き直す。あとは1話に何日かけられるか、日割り計算したスケジュールに従って、最終稿までを淡々と進む。

「ただし1話に5日かけられるとすると、最初の3日は気分で過ごし、最後の1、2日でどっと駆け込みで仕上げるんですけどね。そのほうが結果的に効率がいい」

 理論構築された出力に対し、インプットは主に年間100本以上は観る映画。元は映画監督志望で、「文章で考える人と映像で考える人がいたら、僕は後者」という。

「もちろん好きな映画や撮りたい映画はありますが、仕事を請けた以上、さもそれを“最初からやりたかったかのように”仕上げてこそプロ。人に与えられたか、自分が発想したかは大した問題じゃないんです」

 そのインとアウトがどう作用し、なぜこういう形で出てくるかは「これも脳を開けてもわからない」と一見ぶっきらぼうにいう尾崎氏は、つまりそれほど映画や映像を心から愛している。それだけは確かだ。

■尾崎将也(おざき・まさや):1960年兵庫県生まれ。関西学院大学卒業後、広告制作会社勤務を経て、1992年『屋根の上の花火』で第5回フジテレビヤングシナリオ大賞を受賞。代表作に『特命係長・只野仁』『アットホーム・ダッド』『結婚できない男』『梅ちゃん先生』等。2010年『ランデブー!』で念願の初監督を務める。

撮影■国府田利光
取材・文■橋本紀子

※週刊ポスト2014年1月24日号

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