ビジネス

生命保険分配率 開示されないのに「安心料」と納得するのは変

「月々数千円」「一生上がらない」……そうした保険なら「安心料」として相応しいと言えるのだろうか。『生命保険の嘘』(小学館刊。大江英樹氏との共著)を上梓した「保険相談室」代表の後田亨氏は、保険料に占める経費率(保険会社の取り分)を明らかにしていない保険商品がほとんどであるため、決して安心はできないと言う。

 * * *
 保険料について「安心料のつもりで払っている」とおっしゃる方は少なくありません。しかし、私はこの「安心料」という言葉に疑いを持つべきだと思います。

 まず、安心料として妥当な金額かどうか、確認する方法がありません。一般に「保険」は、加入者から集めたお金を共有財産として、例えば不幸があった家庭にお金を届ける「相互扶助」の仕組みであると説明されます。

 加入者が負担する料金には、「保険金支払いに向けられるお金」以外に、「保険会社や代理店の運営経費(人件費や店舗費など)」が含まれています。

 保険業界で、いち早く保険料に含まれる経費の割合を公表したのはライフネット生命で、その経費率は概ね20%台半ばです。つまり、「死亡保険」に加入し10万円を支払っても、不幸があった加入者に分配されるのは7万5000円前後だということです。

 75%という「分配率」は、あえてたとえれば競馬の還元率とほぼ同じです。けっして高いとは思えません。ところが、大手保険会社の死亡保険では50%程度と試算されているものもあります。共有財産を作るお金から半分“中抜き”しておいて「相互扶助」を標榜するのは随分な話だと感じます。

 そもそもほとんどの生保では保険料の内訳が開示されていません。「皆で助け合う仕組み」に参加する際、どれだけの維持費がかかるのか、一切不明なまま「安心料」と納得するのはおかしいでしょう。

※後田亨・大江英樹/著『生命保険の嘘』(小学館刊)より

関連キーワード

関連記事

トピックス

愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
昨年ドラフト1位で広島に入団した常広羽也斗(時事通信)
《痛恨の青学卒業失敗》広島ドラ1・常広羽也斗「あと1単位で留年」今後シーズンは“野球専念”も単位修得は「秋以降に」
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト