芸能

業界大物がハマる昭和歌謡歌手「高校時代はジュリーに夢中」

昭和歌謡風の曲がヒット中の町あかり

 合間に入るピコピコハンマーの音とともに、一度聞いたら頭から離れない「もぐらたたきのような人」を歌うシンガーソングライターの町あかり氏は、よく昭和の歌謡曲やアイドルを再現していると言われる。しかし、ももいろクローバーなどへの楽曲提供で知られる前山田健一氏や氣志團の綾小路翔氏が賞賛するのは、ただ懐かしさだけではないオリジナルの魅力があるからだ。昭和レトロと現在が合わさった、その魅力の謎の解明を試みた。

 * * *
――町さんの曲は、モテる上に気の多い男性への女性の嫉妬を歌った「もぐらたたきのような人」に限らず、親しみやすいメロディと明るい歌声なのに、詞を見直すと怖いような内容が多いですね。

町あかり(以下、町): 怖いと思うかもしれないですが、女の子にはありがちなことを歌っていると思います。たとえば「のっぴきならない事情」という曲は、あなたに会うのが面倒くさいから「のっぴきならない」と言っておこうという曲。その事情は何かといえば、着替えるのが面倒とか他人からは些細なことです。

 そんな理由で「のっぴきならない事情」と説明するなんて、女の子にはよくあることなんじゃないかなと思います。バイトも学校もない日なのに「忙しい」と返事して誘いを断る女の子って、普通にいますよね。他の曲も、友だちと話していても感じる同世代の気持ちが曲になっていると思います。

――20代で町さんのように同世代の気持ちをテーマにした曲をつくっている人は、もっと抽象的な歌詞が多いように思います。でも、具体的で相手の存在がみえる曲が多いですね。

町:自分の気持ちを歌いたくて曲を書いているのではないのが大きな違いかなと思います。それに、同世代の人たちと聞いている曲が違うからだとも思います。私が好きな1970年代や1980年代に流行った曲は、シンガーソングライターではなく、作曲家や作詞家が歌手に向けて作っています。私も「町あかり」という歌手に曲や詞を書いているような感じにしたいと思って曲をつくっているんです。

――1991年生まれの町さんが30~40年前の曲に触れる機会はなかなかないと思いますが、なぜ、昭和のアイドルや歌謡曲に注目したのでしょうか?

町:音楽を熱心に聞き始めたのは中学生のときでした。それまでは、自分で絵本をつくって友だちに見せるなど創作することは好きでしたが、音楽への興味はそれほどなかったんです。家でも、休みの日には父がギターを弾いて歌を歌っていましたが、好きなのは松山千春さんや「黒の舟歌」が有名な長谷川きよしさんの曲で、ヒット曲というよりはギター好きな人に人気というものでした。

 中学生の時、テレビの音楽番組でたまたまみたサザンオールスターズに夢中になりました。その後、古い曲へ注意が向いたのは、人と違うものを見つけたいという単純な動機だったと思います。中学生でしたから(笑)。具体的に曲に触れたのは、懐メロ番組を偶然にテレビで見たのが始まりです。その後はYouTubeですね。インターネットで探すと、本当にたくさんの情報が出てきますから。

――古い曲を初めて聞いたときには、かなり驚かれたのではないでしょうか?

町:驚いたことがありすぎて、例を挙げるのに困るくらいです。たとえば、沖田浩之さんの「E気持ち」などは歌詞も面白いですし、沖田さんのアクションも面白い。そのなかから一番がどれとは言いづらいですが、高校生のときはジュリー、沢田研二さんに夢中でした。

 YouTubeでジュリーの昔の映像を見るたびに驚かされました。「TOKIO」の電飾がついてキラキラキラと光る衣装にも、同じフレーズの繰り返しが多い曲も衝撃的でした。覚えやすくて頭に残りますよね。沢田研二さんは曲が変わるごとに衣裳のイメージも全然、違っていた。キラキラで王子様みたいだったり、着崩していたり。

――当時の歌謡曲の演出がライブ時のパフォーマンスに影響されているのでしょうか?

町:沢田研二さんだけでなく、当時のアイドルからも大きな影響を受けていると思います。

 たとえば小泉今日子さんがアイドルとして歌っていた頃の映像を見ると、ちょっと気だるく振りをしていて、恥ずかしそうに踊っているようにも見えて、それもまたかわいいんです。だから「町あかり」は今のアイドルのように踊りきらない。すごく頑張らない、特徴的な振りになるようにと決めているんです。

関連記事

トピックス

手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《産後とは思えない》真美子さん「背中がざっくり開いたドレスの着こなし」は努力の賜物…目撃されていた「白パーカー私服での外出姿」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこ(45)の自宅マンションで身元不明の遺体が見つかってから2週間が経とうとしている(Instagram/ブログより)
《遠野なぎこ宅で遺体発見》“特殊清掃のリアル”を専門家が明かす 自宅はエアコンがついておらず、昼間は40℃近くに…「熱中症で死亡した場合は大変です」
NEWSポストセブン
俳優やMCなど幅広い活躍をみせる松下奈緒
《相葉雅紀がトイレに入っていたら“ゴンゴンゴン”…》松下奈緒、共演者たちが明かした意外な素顔 MC、俳優として幅広い活躍ぶり、174cmの高身長も“強み”に
NEWSポストセブン
和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
【懲役15年】「ぶん殴ってでも返金させる」「そんなに刺した感触もなかった…」キャバクラ店経営女性をメッタ刺しにした和久井学被告、法廷で「後悔の念」見せず【新宿タワマン殺人・判決】
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《白パーカー私服姿とは異なり…》真美子さんが1年ぶりにレッドカーペット登場、注目される“ラグジュアリーなパンツドレス姿”【大谷翔平がオールスターゲーム出場】
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン