国内

厚労省若者育成担当者「ニートと呼ばれる人働けば景気回復」

 安倍晋三政権は4月からの消費増税による消費の冷え込み、すなわち「増税デフレ」を防ぐという名目で5.5兆円の景気対策(補正予算)を打ち出した。

 安倍首相は消費増税の実施を決断した後の昨年11月、各省庁の無駄な事業をチェックする“安倍仕分け”を指示した。そして今年1月20日、麻生太郎・副総理兼財務相は全省庁の予算概算要求から「34事業4574億円」の無駄な事業を削ったと胸を張った。しかし、補正予算で無駄とされた事業のうち8割が復活していたのだ。その一つが「ニート」対策だ。

 安倍仕分けで大鉈を振るわれたのが、厚生労働省の「地域若者サポートステーション事業」だ。全国160か所に置かれた地域若者サポートステーション(サポステ)でNPOなどの専門家がハローワークにも行けない若者に“約束の時間を守らせる”ところからアドバイスし、就職相談に乗る事業だが、「わかものハローワーク」や「ジョブカフェ」(就職支援センター)など、似た事業が多いことから、仕分けでは44億円の予算がいきなりゼロにバッサリ切られた。

 ところが、である。厚労省は補正予算で「若者育成支援事業」と名前を変えて同じ事業に35億円の予算を復活させていたのだ。厚労省の言い分が振るっている。

「ニートと呼ばれる人が働くようになれば納税者になります。消費者にもなるから景気回復にもつながる」(キャリア形成支援室)

 シロアリたちには予算をゼロにされては困る事情があった。厚労省はこの数年で急激にサポステの数を増やしてきた。そのサポステ運営の指導や研修を委託されている日本生産性本部は、民主党時代の事業仕分けで天下りが27人いると癒着を批判された組織だ。

 現在の天下り人数を聞くと、「担当者不在で答えられない」とのこと。厚労省は予算を日本生産性本部への委託費やサポステの人件費に充てているため、なくすわけにはいかない。「ニート支援」はシロアリ利権の絶好の隠れ蓑になっているのである。

※週刊ポスト2014年3月7日号

関連記事

トピックス

高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
阿部なつき(C)Go Nagai/Dynamic Planning‐DMM
“令和の峰不二子”こと9頭身グラドル・阿部なつき「リアル・キューティーハニー」に挑戦の心境語る 「明るくて素直でポジティブなところと、お尻が小さめなところが似てるかも」
週刊ポスト
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン