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田原総一朗氏 消費税導入の1989年と8%増税の今年を比較

 今から25年前の1989年、3%の税率で消費税が初めて導入され、今年の4月1日に消費税は8%にアップされるが、導入当時と今の時代ではどのような違いがあるのか。

 振り返れば1989年の消費税導入当時、安倍首相は父・晋太郎さん(享年67)の秘書として政局を見つめていた。ジャーナリストの田原総一朗さん(79才)が言う。

「当時、中曽根(康弘、95才)さんの次の首相は、安倍晋太郎さんといわれていたけど、実際に中曽根さんが指名したのは竹下さんでした。安倍首相は当時、さぞ悔しい思いだったと思いますよ」

 その後、1991年に失意のなか亡くなった父の夢を引き継ぎ、国のトップとなった安倍首相は現在、父や、祖父・岸信介元首相(享年90)の悲願だった憲法改正、集団的自衛権の解釈変更などを達成しようと、タカ派路線を突っ走っている。

 一方で、当時、自民党にとって最大の悲願はまさに消費税の導入だった。

「大平正芳(享年70)内閣は一般消費税、中曽根内閣は売上税の導入を目指しましたが、国民や財界の反対が根強く、断念せざるを得なかった。消費税導入は内閣がいくつも潰れるほどの難事業でした」(田原さん・以下「」内同)

 それがなぜ、竹下内閣は消費税を導入できたのか。中曽根内閣時代、財界を代表して売上税反対の先頭に立ったライフコーポレーションの清水信次会長(87才)が裏話を明かす。

「売上税に反対したときは、周囲から『会社を潰される』『命が危ない』と忠告されましたが、初志を貫徹しました。

 その後、首相になる前の竹下さんから自民党本部に呼ばれて、『まだ公表してないけど、中曽根さんから首相の指名を受けた。日本国家の財政健全化のため、売上税の実現に協力してくれ』と頼まれました。私が『時期尚早だ』と言うと、『財政には余裕がない。とにかく頼む』と粘られた。

 当時、税収が落ちて日本の財政が厳しくなりつつあることは理解していたので、その後に中小零細企業救済などの協議を重ねて、最終的に受け入れました。国民の将来を考えて盟友の竹下さんに協力したんです」

 25年が経ち、安倍首相がイケイケドンドンで政策を進められる原因が1989年にあると、田原さんは指摘する。

「1989年の前年に起きたリクルート事件後、金権政治への反省から小選挙区制と政党助成金が制度化されました。派閥のボスではなく、政党が政治資金を配ることで金銭面はクリーンになりましたが、小選挙区制では党の公認がないと当選が難しく、立候補者は優等生や八方美人ばかりで面白みがなくなりました。その結果、自民党内は昔のようにタカ派とハト派が激しい抗争を繰り広げることもなくなり、タカ派の安倍首相の思い通りに事が進んでいます」(田原さん)

 安倍首相にとって命取りになりかねない今回の消費増税だが、「今の自民党には安倍さんの代わりがいない」と田原さんは嘆く。

「マスコミは安倍さんを批判するけど、その次を担う政治家がいません。昔は『三角大福中』、『ニューリーダー』が激しく鎬を削りましたが、今は人材不足が甚だしい。ポスト安倍で有力なのは、まだ若い小泉進次郎さん(32才)くらいです」(田原さん)

 かつてのような“首のすげ替え”がないことも安倍首相が強気でいられる一因だ。

※女性セブン2014年4月3日号

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