夜の部開始から1時間を過ぎたあたりで、イベント会場では司会者から珍しい告知がされた。

「本日の豚汁とカレーうどんが売り切れました」

 夕食どきということもあったためか、かき氷を食べる合間に暖かい食事を頼む人は開始時間から多く見られたが、イベントスペース側が想定する以上に豚汁とカレーうどんが注文されたのだ。まるでアスリートのように冷たいものと温かいものを交互に口にして緩急をつけ、お腹が冷え過ぎない最適な状態で、少しでも多くの種類のかき氷を味わおうというイベント参加者の意気込みが垣間見えた。

「これまで『かき氷コレクション』は東京だけで開催してきましたが、地方で開催できないかという話もあがりはじめました。かき氷はゴールデンウィークからがハイシーズンで、人気店に行列ができ始めるのもその時期からです。かき氷の専門店も各地に増えてきていますし、今年もかき氷の世界はさらに盛り上がる予感がしています」(前出・小池さん)

 4月1日には六本木に終夜営業するかき氷バーが開店した。夏場だけでなく通年でかき氷を提供する店も増えている。厨房用具・調理道具部などを扱っている代理店によれば、以前は氷削機が売れるのは春先からだったが、最近は真冬でも注文が入るのだという。かき氷をめぐる業界が盛り上がっているのは間違いなさそうだ。

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