ビジネス

リクナビVSマイナビの就活戦線異状あり サービス向上に期待

 就活ツールで業界ナンバー1といわれる「リクナビ」。掲載者数・会員登録数では今や「マイナビ」の方が上なのだが、批判の俎上にあげられるのは「リクナビ」の方が多い。なぜなのか。作家で人材コンサルタントの常見陽平氏が考えた。

 * * *
 いま、メディアで話題となっているのは、リクナビ批判です。雑誌『WEDGE』の2014年4月号では『「就活」が日本をダメにする 不満続出するリクルートのビジネスモデル』という特集が組まれました。採用担当者、大学教職員、人材ビジネス関係者の間で話題になっています。他にも東洋経済オンライン、FLASHなどが、リクナビ批判(の検証)とも言える記事を掲載しました。

 やや端折って説明するならば、リクナビが日本の就活を悪いものにしていないか、リクナビのOpen ES(簡単に言うと共通エントリーシート)、応募数を煽る機能などは本当に学生の役に立っているのかなどの批判です。

 これらの記事で注目したい点は、「就職ナビ批判」というよりも「リクナビ批判」になっていることです。実は今、リクナビは「掲載社数」「会員登録数」という指標においては、No.1ではありません。この指標においては、今はマイナビの方が上なのです。なぜ、リクナビだけが叩かれるのでしょうか?

 先日、マイナビの社員と情報交換兼ランチをしました。名刺には、「マイナビは掲載社数・会員登録数 No.1」というシールが貼られていました。輝いて見えました。もっともシェアをとるために、かなり値引きなどのサービス施策を行ったと、人事担当者たちは証言していますが。

 ただ、この「掲載社数・会員登録数No.1はマイナビ」という事実は、まだまだ世間一般に認知されていないように感じます。推定値ではありますが、売上ベースでのマーケットシェアはリクナビが上だと言われています。長年、業界の雄だったとも言えるでしょう。

 では、なぜ、リクナビは叩かれるのか? 業界No.1ならではのやっかみはもちろんあるでしょう。個人的には、新機能のリリースなどが雑だった、No.1のおごりがあったのではないかと考えています。

 このNEWSポストセブンでもご紹介しましたが、昨年、大学教職員の間で炎上した事件といえば、Open ESという新サービスをめぐる問題です。共通化したエントリーシートで、もともとの意図は就活生の負荷軽減でした。しかし、結局、沢山応募させるリクナビ型モデルの延長線上にあるのではないかと批判を受けました。

 最も批判されたのは、「紹介文機能」です。自分の良い部分を他の人に紹介してもらうという機能なのですが、リリース前後に、大学教職員の負荷を増やすのではないかという声がありました。その後の説明では「大学教職員には紹介文を依頼しないでください」という表記がありましたが、これはこれで変な話ではあります。学生を一番よく見ているのは、大学教職員のはずですから。大学では反対や疑問の声が起こり、一部の有名大学は抗議の声明を発表しました。

 また、まとめてエントリーするボタンが随所に設置された件も応募を煽っていると批判されました。

 率直に私は説明が下手くそだなと感じました。就職情報会社は、大学教職員からの信頼を大切にしてきたわけですが、説明が雑だったなと感じます。就職情報会社が介在する価値も問われ続けています。優秀学生を採りたいなら、個別に大学にアプローチしたり、インターンシップで囲い込んだ方が有効ですから。

関連キーワード

関連記事

トピックス

11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《中国とASEAN諸国との関係に楔を打つ第一歩》愛子さま、初の海外公務「ラオス訪問」に秘められていた外交戦略
週刊ポスト
グラビア界の「きれいなお姉さん」として確固たる地位を固めた斉藤里奈
「グラビアに抵抗あり」でも初挑戦で「現場の熱量に驚愕」 元ミスマガ・斉藤里奈が努力でつかんだ「声のお仕事」
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン