日本三大火祭りの一つとされ、重要無形民俗文化財にも指定されている『野沢温泉の道祖神祭り』。毎年、この祭りのためだけに作られる高さ10数メートル、広さ8メートルにも及ぶ巨大な社殿を舞台に、それに火を放とうとする村人と、阻止しようとする村出身の厄年の男たちが、火の粉をまき散らしながら攻防戦を繰り広げる日本屈指の奇祭としても名高い。最終的に燃え上がる社殿の火力たるや圧感で、「これぞ祭り!」と多くの観光客をうならせているのだが、そんな奇祭にある異変が起きているという。
「4~5年くらい前から外国人観光客が急増しているんです。多くの観光客がいらっしゃってくれるのはありがたいのですが、今では全体の30~40%ほどが外国人の方になってしまって…」(野沢温泉村民)
この背景には、第2のニセコとして名高い長野県・白馬町の影響が色濃く反映されているという。現在、白馬町は100以上の宿泊・飲食施設を外国人が経営している状況とも言われ、本格的な国際リゾート地として、多くの外国人(特に欧米系)から注目を浴びているのだ。
もちろん、旅行代理店などもひしめいているため、日本屈指のファイヤーフェスティバルともなれば、多くのツアーバスが野沢温泉郷へと乗り込んでくることになる。一見すると、多くの外国人で賑わい、地元にお金も落としてくれる“良いこと尽くし”のように思えるが、実はそうでもない。
「マナーや習慣のすれ違いはちょっとした問題になっています。特に、道祖神祭りは振舞い酒がすごいため、外国さんが飲みすぎて、はしゃぎすぎることも珍しくありません。村人同士が火の攻防戦をしているなか、盛り上がりすぎた白人カップルが持参した洋酒と振舞われた日本酒を片手に、イチャついてディープキスをし始めたりして…。外国人が日本の女性をナンパしている光景も見慣れてきてしまったくらい。ちょっと目のやり場に困ることもありますね」(前出・村民)
お前らが燃え上がるための舞台装置じゃねぇ! と怒りの声も聞こえてきそうだが、このマナー問題、あながち軽視できないとか。白馬では、暴行や器物損壊、自動車を盗むといった外国人が関与する事件が増えつつあり、村は本格的な対応を求められている。まさに、国際リゾート地として過渡期を迎えようとしているのだ。いまや近隣の観光スポットにとっても、対岸の火事では済ますことができない問題になっている。
「みなさんが楽しくお祭りを楽しんでくれたら。多くの方に伝統的なお祭りを見ていただける、知っていただけるのはうれしいですよ。でも、少し欲を言えば、もっとたくさんの日本の方に見てほしいなぁって。やっぱりフェスティバルじゃなくて祭りという気持ちがありますからね」(前出・村民)