ライフ

女子高生 自殺止めてくれた車椅子男性との出会いで医療目指す

 涙にはストレス解消の効果があるといわれるが、泣ける“ツボ”は人それぞれ。今回は、42才看護師が医療の道を志すきっかけとなった感動話を紹介します。

 * * *
 17才の時、両親が離婚。DVの父との暮らしが始まり、毎日暴力をふるわれました。家にいるのが嫌で、いつも近所の川を橋の上から眺めていました。

 その日も、橋にいると、20代くらいの青年が「死にたいの?」と声をかけてきたのです。気づくと、私は橋から身を乗り出していました。無意識でした。青年の言葉にわれに返ったものの、父の暴力が続くなら、このまま死んでもいいと思いました。それで、「死にたいか、生きたいか、わからない」と言うと、彼が笑いだし、「うらやましい」なんて言うんです。振り返ってよく見ると、彼は車いすでした。

「君は、生きることも死ぬことも選べるんだね。ぼくは死ぬしかないのに」とニッコリ。彼は続けて「もし死んだらここにきて、ぼくに魂をちょうだい。ぼくは生きて、やりたいことがたくさんあるんだ」と、住所を書いたメモを置いていきました。

 彼の家は、その川の近くでした。いつも座っている橋のベンチから、彼の家が見えました。訪ねようか迷ったまま数週間が過ぎたある日、その家で、葬式が行われているのが見えました。まさかと思い訪ねると、例の青年の葬式でした。

 その時、家から出てきた女性が私を見ると、あっと言う顔をし、「あなた、いつもあの橋のベンチに座っている子でしょ。息子は部屋からいつもあなたを見ていたのよ。この前なんて、突然、外に出ると言うから驚いて…。帰ってきたら“ぼくは自分の命は救えないけど、別の命を救えたかも”なんて、うれしそうに言うもんだから」と、教えてくれたのです。私は初めて、自分に生きてほしいと言ってくれる人がいたことを知りました。

 あれから私は医療の道へ進もうという目標ができました。目標があるので、死ぬわけにはいきません。

※女性セブン2014年5月8・15日号

関連記事

トピックス

ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン