そこで両氏の「新天地」である。奇しくも、ほぼ時を同じくして、今度はともに外資系の日本ブランチから日本企業の再生にステージが移った。新規事業に打って出る、あるいは海外展開を強化する、さらにM&Aや持ち株会社化など、事業の可能性は以前よりも格段に拡大する。ただし、成功するのかどうかは両氏ともに未知数だ。
原田氏の場合、教育分野ではIT通を利してタブレット端末などでのビジネスチャンスが広がる一方、介護関連事業は商売の目利きやマーケティングだけでは通用しない、難しい世界だ。
魚谷氏も就任早々、コアブランドの絞り込みなどは表明したが、資生堂で一時期は成功要因だった国内のチェインストアとネット通販との棲み分け確立など、過去の生え抜きトップでは成しえなかった課題や、しがらみなくスクラップ&ビルドが保守的な老舗企業でどこまでできるかはわからない。
原田氏が新たに就くベネッセHDの創業家は「福武家」、魚谷氏が掌握した資生堂のルーツは「福原家」。両氏のうち、どちらが早く企業の“福”をつかめるだろうか――。