「過去の大きな地震を見ると、極端な地殻の上下動があることが確認できた。我々は1週間単位の短い期間の間に、基準点にどれだけの上下動があったかを基準にすることで、地震発生の危険度を予測している。具体的には、電子基準点の高さの最大値と最小値を比較し、4センチ以上の変動があった場合を『異常あり』としている」
こうした分析結果をもとに、発表しているのが前述した『MEGA地震予測』だ。電子基準点の動きの分析結果を、過去の地震の前に現われた動きと比較。類似性があれば、周辺での地震発生の可能性があると注意を促すというものだ。昨年2月のスタート以降、その予測は人々を何度も驚かせた。
昨年4月11日号では、メルマガ開始以来初めて近畿地方で地震の予兆が記された。和歌山県が「小地震の可能性あり」とされ、地図には、同県北部の海側にピンポイントでマークが示された。するとこの2日後、対岸の淡路島で震度6弱の地震が発生したのだ。
また、その直後の4月17日に起こった三宅島地震(震度5強)も3週間前の号で「伊豆大島に起きる可能性あり」と指摘。さらに同年11月10日、12月31日と、茨城県で起こったM5クラスの地震も、それぞれ直前の予測に成功している。
「場所や規模をぴたりと当てられているわけではない。時期にしても、日付や期間を正確に提示できるような段階にはない。そのためあくまで分析データを提示し、向こう何か月以内に起きる可能性があると指摘するだけにとどめているのです。そもそも私は地震学の専門家ではない。プレートや海溝の話もわからない人間ですから。あくまで自分の専門分野の知識を、地震予測に少しでも役立てられればと考えているだけです」
とはいえ「専門」の東大地震研究所ですら2012年1月に「M7級の首都直下型地震が4年以内に70%の確率で起こる」と発表したあと50%以下と前言撤回。一部の週刊誌に至っては、さしたる根拠もなく「○月までに巨大地震が来る!」と騒ぎ立てる有様だ。「時期は特定できない」と断言する村井氏の姿勢は、かえって信頼できる。
※週刊ポスト2014年5月23日号