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ルール違反で失格を経験した尾崎直道が語る「紳士なゴルフ」

 四番打者にはバントのコツを、豪快な酒豪だった人にコンディショニングの整え方を訊くなどしてきた企画『俺に訊くな!』。今回は、プロゴルファーに質問をぶつけた。規則違反の適用で、失格したことがある「尾崎3兄弟」の末弟、尾崎直道(58)に「紳士なゴルフ」について訊いた。

 尾崎直道は通算32勝の永久シード保持者だが、一昨年の「東建ホームメイトカップ」の初日で、「プレーヤーの不当な援助」に当たる規則違反の適用を受け、失格した苦い経験がある。

 その日、ホールアウト後のクラブハウスで雑談中、直道プロは、「マウスピースを使うと飛距離が伸びるよね」と満足げに話したことから、大会中にマウスピースを使用していたことが発覚。ルール違反ではないかとの議論となり、自ら競技委員に相談した結果、ゴルフ規則14-3「人工の機器と携帯品の異常な使用」に該当すると判断されたのだ。

「マウスピース事件? あったねェ。あれは“治療のため”といえば問題なかったと思うんだけど、僕は“噛み合わせを良くして飛距離を伸ばしたい”と思って使ったわけだから、正直に申告しましたよ。ボクは名前の通り、実直な性格なもんでね(笑い)」

 ゴルフには覚えきれないほど規則があるが、その多くは危険の予防と、競技者間の不公平を回避するために存在する。不当な援助器具を使うのは、明らかな違反行為だった。

「他人から指摘されたり、疑いがあるのにそのままダンマリを決め込めば、ずっと後悔しなければならないでしょ。思わず自慢してしまったことで、違反が分かったのは、かえって良かったと思っていますよ。やっぱり、欲をかいてはダメ。誠実にやっていないとしっぺ返しが来るということを再認識できた」

「紳士のスポーツ」といわれるゴルフは、ルールには厳格であるべきなのだろう。だが直道プロはこう語る。

「アマチュアはゴルフをそんなにシビアなものと考えないでいいんじゃないかな。高反発クラブや、マウスピースを使ってでも、豪快に飛ばしてもらいたいよ」

 実直なプロは、アマチュアにまで同じ厳格な十字架を背負わせようとはしないのである。

 そういえば、直道プロは2006年の日本プロ選手権でもルール違反に問われたことがある。初日に7アンダーをマークしてトップに立ち、プレスルームで記者と応答していた際に、あることが判明。泥を拭ってその場にリプレースする雨天特別規則を勘違いし、“1クラブ”にドロップしていたのだ。

「だからトップに立てたんだな。恥ずかしい」

 のセリフを残し、失格となって潔くコースを去った直道プロは、やはり実直であった。

※週刊ポスト2014年5月30日号

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