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ワインドアップの投手は少数派に 制球を乱す可能性高いため

 和製メジャーリーガーが誕生し、高校球児のレベルも上がり続ける中、野球技術は科学理論や統計に基づき、日進月歩で進化している。結果、ひと昔前の「野球の常識」が非常識となることも珍しくない。

 たとえば、ラジオ中継の決まり文句「さぁ、ピッチャー大きく振りかぶって~投げた~!」は、死語となりつつある。ワインドアップで投げる投手は、もはや少数派である。有名どころでいえば、巨人・内海哲也、阪神・能見篤史、中日・山本昌ぐらいだろうか。
 
 メジャーで大活躍するダルビッシュ有、田中将大、岩隈久志らを筆頭に球界は「振りかぶらない投手」が席巻している。阪神の若きエース・藤波晋太郎も今年からノーワインドアップに挑戦中だ。
 
 広島のエースとして活躍した佐々岡真司氏がいう。
 
「私の現役時代、諸先輩方の多くはワインドアップで足を高く上げて豪快に投げていましたが、私はノーワインドアップにしていました。一番の理由はバランスの良さです。腕を大きく動かす動作で反動をつけるワインドアップは、一方でバランスを崩しやすく、コントロールを乱す可能性が高いのです」
 
 本来、球速アップこそがワインドアップの利点だったはずなのに、振りかぶらないダルや田中が150キロオーバーの速球を連発しているのだから、コントロールと安定感に勝るノーワインドが主流となるのも無理はない。
 
 ワインドアップの衰退は、投手のフォームが総じてコンパクトになっていることも影響している。近鉄・鈴木啓示やロッテ・村田兆治など往年の剛速球投手はテイクバックの際に腕を大きく振り回していたが、これも今や絶滅種。最近のピッチャーの多くは、ボールを耳元につまみあげるような小さなテイクバックが主流だ。これは30年前なら「投手なら大きなモーションで投げろ、野手投げをするな」とバカにされていた。
 
 たとえば、元ソフトバンクの和田毅や、ロッテの成瀬善久などがいい例だ。特に成瀬は「招き猫投法」とも呼ばれている。「電話ボックスの中で投げてんのか!」と思うほど窮屈そうだ。
 
「これもコントロールとバランス重視の意味合いが大きいが、何よりバッターから見てタイミングが取りづらい。小さなテイクバックだと自分の体でボールの出所を隠すことができる。彼らの球が球速以上に速く見えるのはそのためです」(佐々岡氏)

※週刊ポスト2014年6月13日号

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