芸能

高座にも上がる俳優・風間杜夫 熱心さで落語通も納得させる

 1996年に出演した舞台で落語家役を演じたことから、俳優の風間杜夫は落語家としても活動している。落語を通じて教わったセリフに対する考え方について風間が語った言葉を、映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづる「週刊ポスト」の連載シリーズ「役者は言葉でできている」から抜粋してお届けする。

 * * *
 風間杜夫は舞台・映画・テレビと幅広く活躍してきた。そして近年では、春風亭小朝、立川志の輔といった本職の噺家に交じって落語の高座に上がるようになっている。彼の落語に向かう熱心な姿勢は、多くの落語通も納得させるものだという。

「落語をするキッカケは舞台で落語家の役をやったことでした。その時に噺を覚えてやってみたいという気持ちが芽生えました。それで噺家以外の人間が落語をするという関西のテレビ番組で鶴瓶師匠が声をかけてくださって、二十分ぐらいの短い噺をしたら師匠に褒められまして。

 それからいろんな方に声をかけていただけるようになりました。どこにも入門していない自己流なのですが、古典に対する敬愛があるので、噺を崩さない、いじくらないということを僕なりの礼儀にしています。

 小朝師匠も志の輔師匠も皆さん同じようなことをおっしゃるのですが、噺家は噺の中に出てくる人物を演じ分けない、一つの役を際立てるようなことはしない、と。あくまでもガイドといいますか、お客さんに想像してもらう世界だ、と。僕もそうなんですが、俳優が落語をやると、とかく演じすぎちゃうんです。

 落語から教わったのは『セリフに表情を持たせる』ということです。演じるキャラクターなりの音をセリフの中に出す。そういうことを意識的に考えるようになりました。

 地方に行くと大きな劇場があって、席によっては俳優の表情がほとんど見えません。舞台は映画やテレビと違ってアップが利きませんから、お客さんに心の動きを見せるためには、セリフにも表情がないと伝わらないんですよ」

●春日太一(かすが・たいち)/1977年、東京都生まれ。映画史・時代劇研究家。著書に『天才 勝新太郎』(文春新書)、『仲代達矢が語る日本映画黄金時代』(PHP新書)ほか新刊『あかんやつら~東映京都撮影所血風録』(文芸春秋刊)が発売中。

※週刊ポスト2014年6月13日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
阿部なつき(C)Go Nagai/Dynamic Planning‐DMM
“令和の峰不二子”こと9頭身グラドル・阿部なつき「リアル・キューティーハニー」に挑戦の心境語る 「明るくて素直でポジティブなところと、お尻が小さめなところが似てるかも」
週刊ポスト
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン