投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、6月9日~6月13日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は、ウクライナ情勢に警戒しつつ、日本銀行金融政策決定会合での追加緩和策の可能性を見極める展開となる。安倍政権の新成長戦略への期待感、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による外貨建て資産への投資増額期待から下げ渋る展開が予想される。
【日本銀行金融政策決定会合】(12-13日)
今月末、安倍政権は、新成長戦略を発表し、法人実効税率減税などを打ち出すことが予想されており、日本銀行に対しては追加緩和策、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に対しては、株式や外貨建て資産への投資増額が期待されている。2015年10月の消費増税(10%)の判断材料が、2014年7-9月期の国内総生産(GDP)となることから、日本銀行による異次元の量的・質的金融緩和第2弾への期待感が高まっている。
【黒田日銀総裁会見】(13日)
黒田東彦日銀総裁は、ドル・円相場が100円台に突入したタイミングで、ウォール・ストリート・ジャーナル紙などで円高を牽制する発言を繰り返した。ドラギ欧州中銀総裁がマイナス金利を導入することでユーロ安誘導を打ち出したため、ユーロ売り・円買い圧力を回避する措置として、日本銀行による追加緩和策が予想されている。
【ウクライナ情勢】
7日にポロシェンコ新ウクライナ政権が発足するが、ウクライナ東部では、ウクラ
イナ軍と親露武装勢力との武力衝突が激化しつつある。ウクライナ東部での紛争が激化した場合、リスク回避の円買い圧力が強まることになる。
【本邦機関投資家の外貨建て資産投資】
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による外貨建て資産への投資増額観測が高まっていることで、本邦機関投資家による新規の外貨建て資産への投資増額が期待さている。
6月9日-13日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。