ビジネス

1ドル=105円を超えていくような円安は米側の理解が得られぬ

 ドル/円の為替相場は今年に入って1ドル=101~104円のレンジ相場が続いている。アメリカのテーパリング(金融緩和縮小)開始でドル高方向に進むとの見方が多かったが、そうはなっていない。その背景には何があるのか。為替のスペシャリストで酒匂・エフエックス・アドバイザリー有限会社代表の酒匂隆雄氏が解説する。

 * * *
 私は、現状の足元のドル/円相場の上値が重い最大の原因は、市場参加者のポジションが偏っていることだと考えている。投機筋のポジションがわかるCME(シカゴマーカンタイル取引所)の「IMM通貨先物ポジション」や、国内の個人投資家のポジションを見ると、ドルロング(=ドルの買い持ち)が大きく積み上がっている。特に、本邦個人投資家のドルロングは約130億ドルと直近では最大規模まで膨らんでいる。

 さらに、これは私見の範囲だが、現役の為替ディーラーにヒアリングすると、ほぼ全員がドルをロングにしている。つまり、市場参加者の多くはドルが上昇すれば売りたいと思っているわけで、ドルの上値が重いのも理解できる。

 こうした状態はしばらく続くだろう。というのも現状の101~104円台という水準は、日米双方にとってリーズナブルな水準だと想定されるからだ。

 最近ではあまり言及されなくなったが、米国の通商政策には、対外的な為替レートに関する基準があるとされ、ドル/円の場合は1ドル=80~100円と見られている。そして、アベノミクスがスタートしたとき、為替を円安に持っていくために、「円売り」による為替介入はNGだが、金融緩和なら米国サイドもOKする、という見方があり、しかも、当時は、米国の許容レートである100円を超えるような円安も容認されると考えられていた。

 この見方はある程度現在も通用するだろうが、今年は米国で中間選挙がある。金融緩和による円安といえども、105円を超えていくような円安が米国サイドの理解を得られるとは考えにくい。

関連記事

トピックス

鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン