9日、個人情報の大量漏洩を発表したベネッセホールディングス。当初、その漏洩先はIT企業とだけ発表されていたが、10日になり漏洩先はジャストシステムだということが判明した。
同社は、ワープロソフト「一太郎」のメーカーとしても知られているが、タブレットを活用した通信教育サービスの「スマイルゼミ」も展開している。同社はベネッセから流出した情報だと認識したうえで、個人情報を使ったわけではないと発表している。
だが、名簿を購入したことを否定したわけではなく、通信教育界の競合としてベネッセを意識していたのは間違いないと語るのはジャストシステム関係者だ。
「通信教育といえばベネッセの進研ゼミ。少子化の中で、教育市場に入っていくのは、かなり難しいことです。スマイルゼミというIT教材を広げるために、ベネッセに追いつけ追い越せという目標を密かに持っていたのは事実です」
そして、それは実際にアクションとしても起こしている。
「ベネッセはランドセルの大手メーカー・セイバンとコラボレーションしてオリジナルランドセルをつくっています。ランドセルを買う顧客ということは、スマイルゼミの会員になる可能性があるということ。そこで、ランドセルの配送業者などにスマイルゼミの広告を封入するよう依頼したのです」
ベネッセからの顧客引き抜き戦略が徹底して考えられていたということだろう。ベネッセ関係者は次のように語る。
「近年ジャストシステムの脅威は感じていました。スマイルゼミへの顧客引き抜きもさることながら、ジャストシステムは教師の多くが利用している一太郎の開発元。学校現場の信頼も厚いのです」
少子化の昨今、なんとしても会員を獲得したい教育業界の激しい競争が明らかになった今回の件である。