国際情報

寄付8000万円集まった中国孤児に親族が引き取り申し出て顰蹙

 中国の内陸部、広西チワン族自治区の村で、いつも飢餓状態だった14歳の孤児の少年の様子がテレビで紹介され、500万元(約8000万円)もの支援の募金が集まったことが話題になった。ところが、それまでほとんど少年を無視していた親族が名乗り出て、少年の身柄を引き取ったところ、市民から「金目当てだ」との非難が集中しており、中国では孤児問題が改めてクローズアップされている。

 この少年は楊六斤君で、6歳で父親が死亡。その後、母親は再婚したことから、楊君は祖父母に育てられていたが、4年前にその祖父母とも死亡した。親戚は近くにいたが、だれも楊君を引き取らず、ほとんど天涯孤独な境遇になり、空き家となったあばら屋に住んでいた。

 生活は悲惨で、ぼろぼろの服を着て、食べ物も野山の植物や川から魚を獲って飢えをしのいでいたという。

 このような生活をみた従兄弟が楊君に毎週10元(約160円)の生活費を渡すようになったが、いつも飢餓状態だった。

 地元テレビ局が5月末、このような楊君の生活を放送したところ、広東省深セン市内の視聴者が楊君の引き取りを申し出て、6月初旬には深セン市内で暮らすることになった。その後、楊君を支援する募金が続々と集まり、500万元にも達した。

 楊君は深セン市内の中学校に通うようになったが、これを知った従兄弟や村の幹部が、楊君を生活の面倒をみることを申し出て、村に連れ戻すことになった。

 楊君は「村には帰りたくない。このまま、学校にいたい」などと涙ながらに訴え、村に帰ることを拒んだが、結局は連れ戻されてしまった。

 ネット上では、「これまで生活の面倒をみずに、毎週10元だけ渡して、責任逃れをしていたのに、500万元集まると、引き取るというのは金目当てだ」などと激しい批判の声が上がっている。

 中国では楊君のような孤児は1000万人以上いるとされ、完全な孤児ではないが、両親がともに都市部に働きに出て、生活の面倒は祖父母などに任されている「置き去りにされた子供」は6100万人にも上っている。

 貴州省では2年前、ほとんど孤児状態で、置き去りにされた少年5人が暖をとるために、密閉された鉄製のゴミ箱のなかで石炭を燃やし一酸化炭素中毒で死亡するという事故が起こり、中国メディアが特集を組んだが、今回の楊君の場合も広東省や同自治区の新聞、テレビなどが孤児問題や置き去りにされた子供の問題を精力的に伝えている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン