芸能

遠藤憲一 台本の読み込みが足りないと「悪夢」を見ることも

 直前まで人懐っこい笑顔を見せていたのに、カメラを向けた途端、カチンコが鳴ったかのように空気が変わった。デビュー31年、今や顔を見ない日はないほどの売れっ子俳優となった遠藤憲一(53才)。その人気の理由とは──。

 182cmの長身にすらっとした手足。商店街を逃げるヤクザの役がとてつもなく似合う。愛煙家だが、約100mを3回全力疾走しても、ほとんど息があがらなかった。撮影後、飲食店の従業員から記念撮影を求められると、人懐っこい笑顔を見せ、並んでポーズ。気づくと、彼の周りにスタッフやファンの輪ができていた。売れっ子になった今の自分をどう感じているのか。

「遅咲きの花? まだ咲いてないよ! 台本の覚えはよくないし、明瞭に発音するのも苦手。おれは本当に不得手なものが多すぎるから、一生懸命やるしかないんだよね。昔は演じるだけで楽しかったけど、今は違う。やって当たり前と思われないよう、新しい表現をしようと苦しんでるよ。人間の感情って喜怒哀楽4種類だけじゃなくて、何万何千とあると思うし。でも、演じることって苦しいんだけど、それをやらないと生きている感じがしないんだ」

 暇さえあれば台本を読み込む。自分のパートだけでなく、相手のセリフもすべて頭に叩き込む。読み込み不足と思うと、失敗したり何かに追いかけられる“悪夢”を見ることもある。オフが3日あったとしても、1日だけ大好きな焼酎を飲んで、翌日からは台本を読む日常に戻すという仕事人間。ただ、撮影が続くと自分のなかの引き出しが空っぽになってしまう感じがあるという。

「それを補充するのは、おれの場合は音楽。同じ曲をくり返し聴くんだけど、聴いていると役作りのイメージが膨らむんだよね。『家族狩り』の撮影の時は、第一話に登場した『I LOVE YOU』。尾崎豊と宇多田ヒカルの歌声をずっと聴いてたよ(宇多田はカバー曲)。今日はランダム。ジョン・レノンとかエイミー・ワインハウスとか洋楽多めかな」

 謙虚でストイック。自分のことを褒められるのは苦手だが、他人を褒めるのは惜しまない。

「今一緒に仕事してるから、疲れて帰ってきた女房に何か作れ、なんて言えないよ。出前だっていいんだし。でも女房の手料理で好きなのは、骨付きチキンが入ったカレーと、パスタと、クリームシチュー。うまいんだよ。夫婦生活も長いからベタベタというより、信頼できる大切な存在。自分にないものを持ってる人だしね」

 こう話す彼を、妻でありマネジャーを務める昌子さんは「直接私には言わないんですけど、取材の時になると好感度が上がることを言うんです」と笑わせる。コワモテ俳優の実像は、いい人すぎる勉強家&愛妻家だった。

※女性セブン2014年7月31日・8月7日号

関連記事

トピックス

山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン