芸能

花子とアン 悪者扱い多い「伝助」に地元は人気キャラ化期待

 連続テレビ小説『花子とアン』(NHK総合、月~土、午前8時~8時15分ほか)が佳境を迎えている。ついに蓮子が龍一と駆け落ちし、夫・伝助に宛てた「絶縁状」が新聞に公開される大騒動に発展した。これは史実「白蓮事件」に基づく話で、1921年10月23日付の『大阪朝日新聞』(夕刊)に掲載されたものだ。

 当時この絶縁状に対する反響は凄まじく、翌々日付の大阪毎日新聞には〈貴族に有勝ちな低能の女〉、〈非人的行為〉と散々に批判する言葉が躍った。

「姦通罪」に問われることを覚悟の上で絶縁状を公にした行為からうかがえるように、実際の白蓮は気性の激しい人物だったようだ。伝右衛門と白蓮が暮らした福岡県飯塚市の柳原白蓮展示館の館主、有松道子氏が語る。

「駆け落ち直後に授かった長男を戦争に送り出す際も、“国のためにしっかり戦え。国内はお母さんが守る”という歌を激しい筆跡で残しています。華族のお嬢様育ちでしたが芯の強い女性だったようです。

 絶縁状が発表された後に夫側も反論文を掲載しますが、大正天皇の従妹にあたる白蓮を姦通罪に問うことはさすがに憚られたのでしょう、伝助のモデル・伊藤伝右衛門は白蓮を赦すことになります」

 有松氏によれば、史実の伝右衛門は「元妻」を最後まで気にかけていたという。関東大震災の頃に宮崎龍介(龍一のモデル)と結婚生活を始めた白蓮に、焼け野原では大変だろうと、桐の箪笥など、自分の元に嫁いできた際の結婚道具一式を、汽車を手配して送り届けたという。

「映画や講談で白蓮事件は何度も取り上げられてきましたが、夫は常に悪者。ドラマの伝助はずいぶんマイルドに描かれていますが、伝右衛門の地元としてはまだ不満です(笑い)。今後、さらに人気の出るキャラになることを期待しています」(有松氏)

※週刊ポスト2014年8月8日号

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