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都庁OB 東京五輪事業拡大でさらなる天下り枠の増加に期待も

 東京五輪関連の建設ラッシュが始まる。新・国立競技場など競技施設で4554億円、首都高改修で6262億円など、関連事業を合わせると五輪関連予算は軽く1兆円を超えるが、五輪バブルのうまみを味わうのは建設業界だけではない。一番笑いが止まらないのは、五輪に乗じて天下り先の大幅拡大を当て込む東京都庁の現職・OB役人たちだ。

 五輪の各施設は都民の税金で建設された後、運営は都の外郭団体が行なうため、競技場の建設ラッシュがそのまま天下り先の焼け太りにつながるからである。

 その筆頭が「東京臨海ホールディングス」(大原正行社長=元都教委教育長)だろう。東京都は1990年代から2兆5000億円を投じて臨海副都心開発を推進して大失敗し、巨額の損失を出した。そのときに経営破綻した第三セクターの後始末のために設立された持ち株会社で、都が85%の株を持つ。

 そのお荷物会社が五輪特需で脚光を浴びている。同社傘下の企業はいずれも五輪の恩恵をたっぷり受ける。「東京ビッグサイト」ではレスリングやフェンシングの競技が行なわれる他、プレスセンターとして使われる新たな棟の建設が決まった。

「ゆりかもめ」は延伸構想、晴海の旅客ターミナルを運営する「東京港埠頭」は新ターミナル建設、竹芝のツインタワーをはじめ臨海部の6棟の超高層ビルを経営する「東京テレポートセンター」は五輪を見込んだ地価上昇に沸き立つことになる。

 各社の役員には都庁OBが並ぶが、都の役人は、「五輪で事業が拡大すれば人手が足りなくなる。当然、都庁OBの採用枠もこれから大きく増えることになる」(50代の職員)と、さらなる天下り枠拡大の期待を隠さない。

 しかし、東京五輪のために競技場と天下りを増やし、五輪後に利用者が集まらなければ、長野五輪の施設のように自治体の重い負担になる。それでも都庁役人たちは、「そんなのは知ったことか」とばかりに目の色を変えている。

※週刊ポスト2014年8月8日号

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