スポーツ

川上哲治氏が徹底排除した広岡達朗氏 涙が出た仕打ち述懐

 巨人にV9をもたらした川上哲治監督は、「ドン」と呼ばれたほどの絶対的な権力で選手を管理した。その川上氏から疎まれ放逐された選手がいた。広岡達朗氏(82)である。

 きっかけはV9の始まる前年、1964年8月6日の国鉄戦だった。2点を先制され、相手投手・金田の好投に手も足も出なかった巨人は、7回表、ようやく1死三塁の好機を掴む。打者は5番・広岡。しかしその3球目、三塁走者・長嶋がホームスチールでアウトになる。

 打撃を期待されなかった広岡氏のショックは大きかった。三振に倒れた広岡氏は激怒してバットを叩きつけると、ベンチを素通りして帰宅してしまった。広岡氏があの事件をついに自分の口で語った。

 * * *
 1961年に監督に就任した時、川上さんは私に「現役時代はいい加減なことをしたが、すべて水に流して協力してくれ」と頭を下げてきた。私はもちろん快諾しましたよ。その後はコーチ兼任として、V9の初期を支えたつもりです。しかしこの時ばかりは腹が立った。
 
 私は信用されていなかったんだと確信した。そこから川上監督との関係が悪化していったんです。
 
 それで、この年のオフには私を中日へトレードする話が出た。私は「トレードなら引退します」と正力亨オーナーに直訴し、結局この時は正力松太郎さん(亨氏の父。巨人の初代オーナー)が取り持ってくれて残留することになった。しかし川上さんは気に入らなかったのでしょう。その後は露骨に出番を減らされました。優勝した翌1965年はまだ良かったが、1966年には11試合しか出られず、結局この年を最後に巨人を辞めました。
 
 川上さんによる「広岡排除」は徹底していましたよ。引退後、私が評論家として巨人を訪れると取材拒否された。米国・ベロビーチキャンプに取材に行くと球団に「広岡を入れるな」と通達する。ならば個人で行ってやれとスタンドで観戦していると、練習をやめてしまう。海外まで来てこの仕打ちを受けた時には涙が出ましたね。

※週刊ポスト2014年8月15・22日号

関連記事

トピックス

交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
身長145cmと小柄ながら圧倒的な存在感を放つ岸みゆ
【身長145cmのグラビアスター】#ババババンビ・岸みゆ「白黒プレゼントページでデビュー」から「ファースト写真集重版」までの成功物語
NEWSポストセブン
『徹子の部屋』に月そ出演した藤井風(右・Xより)
《急接近》黒柳徹子が歌手・藤井風を招待した“行きつけ高級イタリアン”「40年交際したフランス人ピアニストとの共通点」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン
高校時代の青木被告(集合写真)
《長野立てこもり4人殺害事件初公判》「部屋に盗聴器が仕掛けられ、いつでも悪口が聞こえてくる……」被告が語っていた事件前の“妄想”と父親の“悔恨”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン