「そもそもカサノバ氏は日本の市場動向をよく理解していないのではないか」と分析するのは、経済誌『月刊BOSS』編集委員の河野圭祐氏だ。
「カサノバ氏は世界のマクドナルドのビジネスの原点であるキッズとファミリー層にターゲットを絞って商品開発や店舗改革を行っていくと明言しています。
でも、日本は高齢化でシニア層のボリュームが増えていますし、独身世帯の急増も考えればむしろ“個食”へのアプローチ強化のほうが業績回復の早道になると思います。ファミリー客を呼び込む強烈な来店動機が示せれば別ですが、そうした展開も見られず戦略のミスマッチが起きています」(河野氏)
1991年にマクドナルドカナダに入社し、世界のマックでマーケティングのノウハウを蓄積してきたカサノバ氏。日本でも原田泳幸前社長の懐刀として2004年から「執行役員マーケティング本部長兼事業推進本部長」の肩書きで辣腕を振るってきたが、自身の“舵取り”は迷走していると言わざるをえない。
14か月連続の客数減に加え、食肉問題の影響が長引くようなら3期連続の減収減益も避けられそうにない同社。“マック離れ”に歯止めをかける起死回生策を打つことができるか、待ったなしの正念場を迎えている。